122.「だれにもわからんこの気もち」
「だれにもわからんこの気もち」 妻の腫瘍の脳転移は深刻だ。 視野が狭く平衡感覚を失うので、手洗いへ行くときに、ころんだり頭を打ったことがある。 それ以降、病院で寝泊まりして、一緒に起床し手を引くなどのサポートをしている。 その日は晴れて早朝4時半にすでに日の出し…
「だれにもわからんこの気もち」 妻の腫瘍の脳転移は深刻だ。 視野が狭く平衡感覚を失うので、手洗いへ行くときに、ころんだり頭を打ったことがある。 それ以降、病院で寝泊まりして、一緒に起床し手を引くなどのサポートをしている。 その日は晴れて早朝4時半にすでに日の出し…
「あなたはいつもそうやって怒る!」 6時起床し、三男に起こす。「朝だ!」「きょうは部活がないから7時で大丈夫」「そのことを前日までにおば…
妻の「飲めない!」がくやしい 病室のブラインドを降ろしていてしかも雨降りなので目覚めが7時と遅くなる。 わたしは妻に声をかけた。「トイレ、大丈夫…
ガンマナイフ前夜に妻がしくしく泣く 翌朝5時半起床し、妻のトイレの介助を行なう。 その後、妻に従姉から送られた富士山の水を飲ませる。 午前中、妻…
「一緒にきてくれなくてとても心細かった」 いよいよ千葉県循環器病センターのガンマナイフ(放射線照射装置)で脳転移の腫瘍を撃退する日だ。 朝6時、男性の看…
「頭のもやもやがとれ、視界も広がった」 妻が千葉県循環器病センターのガンマ治療棟のMRI室へ入るとすぐに、長女から「(三男と)病院へついた」のメールがきた。…
「とにかく低姿勢を貫いてください!」 妻の脳の調子はガンマナイフ(放射線治療装置)でよくなったが、次男に千葉家庭裁判所八日市場支部から出頭命令があった。…
「てんきもあたまの中もすっきり!!」 妻がごそごそ起きだして、わたしの布団をかけてくれたので目が覚めて、朝からうれしい会話をする。「きょうは6月2日だね…
「わたしは(※緩和科へ)てんかする」「いま何時?」 妻の声で目が覚める。「4時40分だよ。水飲む?」「いらない」「まだ早いよ! …
「あめ、あめ、あめ、あしただれくる?」 妻が千葉大病院の緩和科へ転科して数日がすぎた。 緩和科の矢口布由子医師より妻の現状と今後について説明を受けたあと…
「たちつてと ああめぬねの……」 この日、リトルリーグ東関東連盟の全国選手権大会の1枚の切符をかけた夏季大会決勝リーグの緒戦の火蓋が切って落とされる。 …
「死ぬなよー! 生きていてくれー!!」 わたしは、6月7日という日にちをけっして忘れることができない。 早朝6時、マナーモードの携帯電話が「ブーッ、ブー…
「ご臨終です。ご愁傷さまでした」 高速道路を駆けて千葉大病院の緩和科へ着くと、長男と義父がふたりで妻に向かって懸命に声をかけている。「おかあさん死なない…
妻が外房に同郷人を引き寄せた 千葉大病院緩和科の病室から退去する約束の30分が迫ると、アスカ葬祭の担当者が病室へ到着した。「このたびはご愁傷さまです。担…
「長女がおらんと思うたら行方不明か?」 妻をアスカ葬祭の車へ乗せると、木林健伍氏が話しかけてきた。「おくさんはまだお若いですね?」「47歳です。…
「大阪府警で準捜索願をとりさげておくよ」 わたしは行方不明の長女を捜しだせないいらだちから家族写真を前に腕ぐみ、びんぼうゆすりしながら安否を待った。 そ…
「優勝はおくさんが風を吹かせてくれたから?」 千葉リトルリーグの東関東夏季大会決勝戦の結果も気になっていたら、徳川監督夫人からわたしの携帯へ電話がある。…
「花を生けて! 菊はさみしいからいや!」 長女が行方不明から生還し、三男の野球チームも優勝した。 アスカ葬祭の木林健伍氏から導師を決めてほしいと言われて…
「おかあさん行っちゃう! あの世で相手にしてくれないよ!」 朝8時半、きのうは日曜で連絡できなかったわたしの勤務先、三男の中学校、次男の高校、フォーラム共同主催…
「政治家の葬儀でもこんなに集まりません」 葬祭場で寝ていて午前4時に妻のすすり泣くような声を聴いて目が覚める。 声の主に近づくと、DVDが流れていて泣き…
「手記 天女となった妻(上)」マイペースのがんばり屋 妻は、幼少時代からマイペースのがんばり屋で、苦しくても顔に出さないタイプでした。 中学校で…
「手記 天女となった妻(下)」思い出の家族旅行 奇跡もそう長続きしませんでした。脳転移のむくみが5、6センチに拡大し、万策尽きたとの思いから、妻が家…
「骨は全部拾いきり、壺の中へ入れてください」 東金市堀上の山武郡市広域斎場へつくと、若い茶髪の女性が歯切れよく迎えてくれた。 妻がついに火葬で骨と灰…
「あなたたちは料理しても食べてくれん」 朝、妻(母親)の墓地と納骨について長男がやや感情的になった。「おかあさんのお墓はどうするの?」「伯父さん…
「会社へ行きゃあええ! 三男の面倒も見る!」 妻の逝去に伴い、5日間の忌引き休暇と有給休暇をもらう。 数日はなにもすることができずに、ただぼーっとしてい…
「最初の診療所が医療過誤でしたね」 会社復帰約1週間後に有給休暇を申請し、病院まわりをすることにした。 最初に千葉大病院地下1階の皮膚科外来で、窓口の女…
「息子さんがまだ登校していません!」 母が岡山県の自宅へ帰っていき、長女が大阪からもどってきた。 5時45分に起床し、三男に「起きよ」と声をかける。…
「こだわらない、とらわれない、執着しない!」 大里綜合管理でのフォーラム打ち合わせ解散後、全日本リトルリーグ野球選手権大会の必勝祈願で薬師寺へ向け、選手の三男と…
「おくさまはあんなにお元気だったのに」 全日本リトルリーグ野球選手権大会の必勝祈願と壮行会の翌日だ。 長男が「三男を連れていく」と言っていたのに起きてこ…
三足のわらじを履くことの困難さ 前日の大掃除の結果でてきた可燃ごみ5袋を集会所へだしながら、長女に大網駅まで送ってもらう。 車中で大里綜合管理の野老真理…