123.「あなたはいつもそうやって怒る!」

  1. 朝飯前の朝飯

「あなたはいつもそうやって怒る!」

 6時起床し、三男に起こす。


「朝だ!」

「きょうは部活がないから7時で大丈夫」

「そのことを前日までにおばあちゃんに伝えたか? 伝えていなかったらおばあさんも困るだろう。これからはおとなへホウレンソウ(報告・連絡・相談)を徹底するように。部活がないなら起きて勉強、宿題、読書なり自分磨きをせよ」


 三男は起きて、おばあさんのところへ向かう。

 可燃ゴミのゴミ袋をまとめて集会所に出してから自宅に戻り大網駅へ向かう。


 駅前でPTA仲間の恩田敦さんに会い、「おくさん、大丈夫ですか?」と質問される。

 駅構内の電光掲示板を見ると、「7時18分発」が点滅していたので「じゃね」と言って4番ホームへ走るが乗り遅れ、1番ホームに戻り快速電車のグリーン車へ乗り込む。


 会社には9時ちょうどに着く。

 この日は早めに会社をひくように準備をして、17時40分に退出。

 東京メトロ有楽町線を利用し東京駅京葉線ホームへ駆け込むとギリギリセーフ。


 特急わかしおの車内から家へ電話し三男を呼ぶと、カバンを置いて遊びに行っているらしい。

 中学1年生の最初の中間テストなのになんという大胆さかと思い、もし家の机に向かっていたら千葉大病院へ連れて行ってやろうかという気持ちがなえる。

 家に着いてパソコンの電源をONすると、三男が駆け込みで帰ってくる。

「どうしたんだ?」

「友だちの鍵を探していた」

 この本当だか嘘だかわからない理由は長女から始まって4人に共通している。


 わたしはあきれて三男を一喝する。

「あの次兄でさえ中1までは試験勉強に取り組んでいた。おまえがいちばん怠けている。テストの成績を病床のおかあさんに堂々と見せられるか? 喜ばせることができるか?」


「……」

「何か言いたいことがあれば言ってみな?」

 三男は下を向いたまま答えない。

 そうこうしているうちに長女から「いつ病院に着くの?」と矢の催促。

「もうすぐだ」と答えたら「いまどこ?」と。

 横浜の従姉から届いた荷物を車に積み、妻の病室へ向かう。

 案の定、長女はいなくて中学時代の友だちとスパに出かけた模様。

 妻と少し言い合いになる。

「またか? これじゃとても看護とは言えない!」

「息抜きぐらいさせればいいじゃないの?」

「いっ、いつも息抜きじゃかいか?」

「あなたはいつもそうやって怒る!」

 いつものパタンだ。

 わたしのプライオリティー(山ノ堀家の家訓)は「謹厳実直、質素倹約」、妻は「楽しさ、おもしろさ」なので、どこまでいっても交じりあわない。


 だんまりを決め込んでいても、妻が「トイレ」と言って起き上がると立ってケアするなど役目はちゃんと果たす。

 わたしがチキンラーメンを食べていると、「いいにおいね」と言うので新しくつくってやると「おいしい」と声を上げる。

 ふとわたしは「自分にもっとおおらかさがあれば、笑顔が絶えない家庭になったかもしれない、いやいや山ノ堀家は代々これでやってきたんだ」という思いが交錯して答えがでないのだった。

(つづく)※リブログ、リツイート歓迎

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