妻の祭壇へアメリカの帰朝報告
8月31日、リトルリーグ世界選手権大会の全行程に参加した一行はニューアーク空港を飛び立った。
ユナイテッドの機内には女優の羽田美智子氏の顔もある。
リトルリーグの映画のアメリカでの収録を終えたのだろう。
9月1日、日本時間の昼過ぎに成田空港へ到着した。
2週間ぶりの日本だ。
JTBの小川氏が近づいてくる。
「息子(長男)さん、大変でしたね」
「いえ、わたしが(バスに22時間半ゆられ)大変でした(笑い)」
「ニューヨークでのホテル代を負担していただいたほかはかかりませんから」
「お世話になりました」
成田空港駅13時の総武線快速エアポートへ乗り、千葉駅で川上父、山田父、雨方父母、籠山母、市沢母と別れ、外房線に乗り換え大網駅14時着。
タクシーへ乗り、大きなスーツケースがあるので、自宅前へ着けてもらう。
家へ帰るとホッとする。
まず各部屋の窓を全開し、祭壇の妻にアメリカからの帰朝報告をする。
「きみの夢だった三男のチームが日本一になってジャパンとしてアメリカへ渡ったけど、インターナショナルの部のベスト4に終わった。鳥インフルエンザの蔓延で戦意喪失し、全国大会がピークで、あとは下降線。東関東大会の友部グラウンドや全国大会の江戸川区球場には天女になって舞いおりてくれたが、アメリカへは行き方がわからんかったんじゃろうな? 『結婚25年の銀婚式でハワイかアメリカへ連れていってやる!』と言うとったのを10年前倒しして結婚15年の水晶婚式で行けばよかったな」
当然のことながら妻からの返答はない。
わたしは妻の夢でも見てやろうと思い、Tシャツとトランクス姿で横になったが、2~3時間たったころ、からだが無性にかゆくなり飛び起きる。
21時に家を出て、カーナビに「成田空港第1ターミナル」と入力すると1時間後に着き、空港内のC駐車場へとめる。
到着ゲートへ行くと、出迎えの石井会長、上武事務局長夫妻、選手の親たちの顔がある。
掲示板には到着予定時間が22時19分から22時13分に切り替わっている。
22時半すぎに日本リトルリーグ野球協会の志村会長夫妻、徳川監督夫妻、コーチ、選手が次々と出てくる。
木村主将が「ありがとうございました」と挨拶すると一同拍手で解散となる。
わたしはキャッチャーとしてがんばった三男を車に乗せて家路へ向かった。