168.「きみも打ちこめるものを見つけな!」

  1. 朝飯前の朝飯

「きみも打ちこめるものを見つけな!」

 仕事を早めに切り上げ、東京駅であすの四十九日法要用の菓子を物色。

 日持ちを考慮し、新幹線カリスマ販売員の齋藤泉氏が講演で紹介しているラスクを購入。

 それにしても重くかさばる。

 こんなことなら前日までに購入して送っておけばよかったと思う。

 市沢母から「赤中コーチの実家『とんかつぴあ』へ迎えに来てほしい」と電話が入り、東京駅で総武線特急電車へとび乗り、1コインを支払う。

 千葉駅で6番ホームへ移動し、東京方面の快速電車に乗り換え、稲毛駅から徒歩で「とんかつぴあ」へ着く。

 特急電車を利用してももどるので快速電車でよかったかもしれない。

 三男を連れて帰ろうとすると赤中コーチから「徳川洋文監督が奥の部屋へいらっしゃいます。挨拶してください」と言われ移動すると、監督夫妻、若田父、山田父の顔がある。

 監督夫人から「渡米に公的書類がもう1枚いる」と言われ住民票を渡す。

 若田父からは「せがれを預かるよ。うちへ泊まっていいから」と言われる。

 三男との帰り道、言葉を交わす。

「楽しかったか?」

「うん、楽しかった!」

「おいしかったか?」

「とんかつがめちゃくちゃおいしかった!」

「みんな参加したのか?」

「塾がある日坂以外全員きた。みんな盛り上がったよ!」

 三男は久々に野球以外の外出でうれしそうだ。

 稲毛駅で電車の時刻表に目をやると、快速上総一ノ宮行きがあることを知り、一本待ってわたしだけラーメンをすする。

 三男は「ジュースがほしい」と言うので自動販売機で買ってやる。

 家に着くと、両親と弟夫妻、夏休みの甥の顔がある。

    甥は三男を見つけ言葉を交わす。

「おにいちゃん、日本一おめでとう!」

「ありがとう。きみも打ちこめるものを見つけな!」

「そうする」

 部屋割りの話になり、両親を三男の部屋、弟一家を和室、三男とわたしがマイベッドに決める。

 ヨトウムシの長女、長男、次男がまだだ。

「寄り道をしないで真っすぐ帰れ!」とメールする。

 いま打ちこめるものを見失っているのは……。

 長男と次男の顔が浮かんできた。

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