「息を吸うとき右脇の鋤骨あたりが痛い」
妻は点滴とインターフェロン4日目に次の日記を書いている。
「朝起きたときはいつも身体がだるい。気温25℃まで上がるらしい。4月なのに5月下旬の気候。夏日だ~! 北海道は例年並みで15℃前後らしい。あすからお天気下り坂に向かう。きょうは紫外線対策が必要。たんぽぽが日中閉じると、雨が降ると言われている」
翌5日目に妻からわたしへ続々とメールが入ってきた。
「ヤッター!!! 終わったよ! 点滴!! 血液検査の結果もよく、あさって退院! よろしくお願いします!!」(15:08)
「克本晋一先生、バツ2なんだって~!!」(17:49)
「たぶん超わがままなんだよ~!!」(18:05)
「本人、話好きだからさっきも30分ぐらい病室でしゃべっていったよ! わたしは発熱で寝ているっていうのに? 話し相手だよ~」(18:12)
「どっちがカンファレンスしてんだかって感じ????」(18:15)
「熱が出てるって言ったよ~! 言ったのに??」(18:22)
医師は難関の医学部入試や国家試験に合格し、世間から一目も二目も置かれる存在なので、勘違いされる方がいらっしゃるのかもしれない。
妻の、田川一真医師への信頼感がひしひしひしと伝わるために、ご自分もフレンドリーにしようと思われたのだろうが、田川先生は患者が体調が悪くて寝込んでいるときに長時間話かけてくることは決してされない。
同じ医師でもそのへんが大きく違うと思う。
しかも克本医師は病院でガンと闘わないで、自宅での終末医療を勧めていた患者へ長時間話しかけるのはつじつまが合わない。
わたしは克本医師にクレームをいれようかと思ったが、妻が「やめてちょうだい」というのでやめた。
こうやって苦痛なのに「我慢」して穏便にすませる性格が、ガンになるのかもしれない。
妻は抗ガン剤治療の終了と退院の喜びを次のようにまとめている。
「終わったぞ~やった~。大丈夫~大丈夫~だいじょうぶ~だいじょうぶ~。ヤッタ~最終日だ。この採血結果が良ければ家に帰れるぞ~。早く帰りたいな~。前よりは体調がいい!! 夜、体温37.4℃。ちょっと寒気がする。また熱がでるかも。息を吸うとき右脇の鋤骨あたりが痛い。夜中からずっと痛みが続いている」
千葉大病院の退院日、大佐玲佳医師から次の話があった。
「入院時のレントゲンは3月に比べて影が広がり、かつ増えています。胸が痛いのは、そこに神経がはしっているからです。咳止めのリン酸コデインは1日4回まで増やせます。胃薬のセルベックスはハイペンと一緒に服用します。私たちにできるのは痛みを止めることです。今後の治療方針は、もう1回化学療法、その後も可能な限り行ないます。おくさんは白血球の値が下がらないが、体は疲れているのでしばらく安静にしてください。次回検診(採血・レントゲン)は4月28日で、入院日は未定です」
妻の胸の痛みが気になる。
(つづく)※リブログ、リツイート歓迎