「再婚なんて、おかあさん、かわいそうじゃない?」
3月にまず最初に高校を卒業したばかりで予備校へ通う予定の次男と話をした。
「奥星余市高校を昨春卒業したMくんいるよな」
「ああひとつ上だね」
「Mくんのおかあさんのこと知っているか?」
「ああ知っている」
「彼女と結婚しようと思っているんだが」
「えっ、仲よかったけ?」
「奥星余市のPTAでは話したことがなかった。都内の講演会でうしろから声をかけられたんだ。そのときはなにもなくわかれたが、Facebookでつながってつきあうようになったんだ」
「いつから?」
「初デートは昨年の10月かな?」
「おとうさんがいいんならすればいいんじゃない?」
「そうか? (次男に)反対されたらどうしようかと思っていた。ありがとう。その前に彼女と会う機会をつくるから」
将来的に同居するかもしれない中学校を卒業して高校進学を待っている三男は笑みを浮かべながらひとこと言った。
「ふーん。最近、よくでかけると思ったら彼女できてたんだ。いいよ!」
社会人の長女に電話すると、こちらもひとことだ。
「そう、よかっったね。おとうさんがいつまでも独身ならわたしが将来面倒みないといけないと思っていたけどよかった! 開放されて!」
問題は就職活動を断念し、大学をどうにかこうにか卒業した長男だった。
「おかあさん、亡くなってまだ2年もたっていないのに再婚なんてよく言うよね。おかあさん、かわいそうだと思わない?」
「3月下旬に会食の場をもうけるからきてくれないか?」
「ガソリンスタンドのバイトの面接があって、採用されたら休めないからムリだよ」
「そうか? それじゃほかの3人に先にあってもらい、大網には別の機会をつくるよ」
「……(長男が無言の抵抗をしているのがわかる)」
こいつには益田ドライビングスクールの授業料をだしてやっているのにけんもほろろでなんだと思う。
笹原母に連絡して、子どもたち3人とあってもらう日を3月30日に決めた。
翌週であれば次男が駿台予備校、三男が高校野球部で本格的に始動するからこの前後しかなかった。
彼女は言った。
「うちの子はいろいろ見せているから大丈夫と思うけど、やまちゃんところは長男くんが反対なんだ!」
それがなんとどんでん返しの結果となったので予測はわからないものだ。