213.「体操服を洗濯したからきょうぐらい泊めたい」

  1. 朝飯前の朝飯

「体操服を洗濯したからきょうぐらい泊めたい」

 中学1年生の三男がぐずぐずして登校の用意をしないのでこちらまで家事がはかどらない。


 ようやく三男を見送ると、出張で重たい荷物を持ったこと等で腰の調子が悪く接骨院へ通う。


 8時40分、大網白里町役場(現・大網白里市役所)で転出届を出す。


 これで大網白里町から一挙に家族5人が消えた。


 同町への転入が平成元年9月なので丸20年いたことになる。


 三井住友銀行飯田橋ローンプラザへ向かい、ケイコーポレーションの内藤賢一氏、施工の不動産会社専務、司法書士等の参集のもと不動産売買の契約を完了する。


 残業して帰宅すると、三男から「川野さん家へ行ってくる」との置き手紙がある。


    わたしは川野家へ連絡する。


「三男がお邪魔していますか?」


「わたしが(三男を)呼んだの。転校するって知らなかった。一緒にリトルリーグをやってきたのに水くさい。なんで知らせなかったの?」


「担任の荻原智恵子先生と話をして、『別れがつらいだろうからクラスメートには黙っておこう』ということになっていたんですよ」


「それでも荻原先生、きょうになって『来週からもう登校しない』と言ったから、上を下への大騒ぎで何人かの女の子が泣いちゃったらしい」


「そう言われるとつらいね」


「でも、今回の決断は正解だよ。ここにいたらわるくなるかもしれない。でも、かれは新天地ならきっと活躍すると信じている」


「晩飯を馳走になったようですみません。これから迎えに行くから」


「もう体操服を洗濯したから乾くまで迎えにこないで。今夜ぐらい最後だから泊めたいよ」


「そうですか? では、よろしくたのみます」


 東京への転居・転校に異を唱える奥星余市PTAの木田母とメールのやりとりをする。


「きょう三男は同級生の家にいる。わたしが『迎えに行く』と言えば、母親が『もう(三男の)体操服を洗濯した。泊めたい』と言いながら小生の決断を褒めてくれた。というのも、このままでは次男の二の舞だと。三男もそれがドツボにはまると知っていても、楽しいからつきあってきた。だから三男自身も、転機ととらえている」


「三男くん自身が転機ととらえてくれたのならよかった。少し安心。転入後しばらくは緊張などでストレスが溜まるかもかしれないね。とうさんは、もしかしたらそれ以上に慣れるまで大変かもしれないけど、そんなときはできるだけ周りに助けを求めて、自分ひとりで背負い込まないように。元気がいちばんだから」


「承知しました。助言ありがとう」


「わたしはデスクトップのパソコンが壊れてノートパソコンを買ったよ。テーブルで楽チン。でもパソコンのデータの引っ越しってめんどくさい。移さなくていいデータまで移っちゃてよくわからないね」


「パソコンより、家の引っ越しのほうが大変だよ(笑い)」


 今回の東京への転居・転校をめぐってほぼみなさんから理解がえられた。


 あとは三男自身が新天地になじんでくれることを期待するのみだ。

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