263.「資金難で都立高校へ行かせることにしました」

  1. 朝飯前の朝飯

「資金難で都立高校へ行かせることにしました」

 帰宅すると、三男の弾んだ顔がある。

「おとうさん、きょう都立江東の部長さんが中学校へきてくれた。『キャッチボールをしよう』って言われたので遠野と一緒にみんなの公園(東京外国語大跡地)へ行ったんだ。おれ、『肩がいい』って褒められた。たぶん受かるんじゃないかな? そんな気がした」

「ずいぶんな自信だな? では、都立江東を第一志望にするのでいいな。あしたほうぼうへ連絡しなければいけない」

 翌朝、まず担任の中森學教諭を呼び出してもらう。

「息子がS大附属高校から都立江東高校の推薦入試に方針変更したいそうです」

「都立江東はスポーツ推薦でなければ合格が難しいと思います。推薦で都立江東を受けるとして、すべりどめに私立の併願と都立の一般入試をどこにするか決めないといけません。S大附属は単願推薦でないとムリでしょうか?」

「まさか、S大附属に併願はむずかしいと思います。偏差値50前後の高校でも併願だと条件を軒並み高く設定していますね。甲子園に一度出場した横浜隼人はどうですか?」

「かれの3年1学期の内申点は9教科で38点です。少し足りません」    

「では息子と話をしてみます。それからS大附属に断りの電話をいれます」

 S大附属の野球部部長へ電話する。

「息子の受験を辞退させていただこうと思い電話しました」

「急な話で戸惑っています。西練馬リトルシニアの鵜飼實斗監督には電話されましたか?」

「まだです。貴校もご予定があろうかと思い先にしました。鵜飼監督にはこれからします」

 鵜飼監督にはしばらくして叱られる覚悟で受話器を握る。

「息子の高校をせっかくご紹介いただきながら恐縮ですが、資金難で都立高校へ行かせることにしました」

「S大附属から聞きました。都立でがんばってください」

 意外にあっさりだったのは、三男が半年間ブルペンキャッチャーとして裏方でがんばったからかもしれない。

 これが毎年、選手を送り込んでいる高校であればこうすんなりとはいかなかっただろう。

 あとは三男が推薦入試で点がとれるかどうかだ……。

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