222.人生初の窓際族、「きみはサラリーマンとして失格だよ」

  1. 朝飯前の朝飯

人生初の窓際族、「きみはサラリーマンとして失格だよ」

 会社の経営計画発表会は決算終了後の毎年11月ごろ会議室で行なわれる。

 わたしは仕事の多忙さに加え、高1の次男の不祥事等で思考能力を奪われ、かな縛りにあったような状態になり、部門長としてのつとめであるA4判1枚の方針書の提出を怠ってしまう。

 仕事のプライオリティーをたがえ、経営計画発表会でみずから発表の機会を失した。

 以前、7月には岩野清志専務(当時)の校正の要請を断り、「部長から次長に降格してくれてかまわない」と啖呵をきっていた。

 それらのことで田宮兼一部長(当時)から通告があった。

「山ノ堀くんには次長へ降格してもらう。もう取締役会へのオブザーバー出席はしなくていい。不服かもしれないが、上司は岩野専務からぼくになる。それに伴い席替えをしたい。希望があれば言ってほしい」

「方針書の提出を怠ったので了解しました。上司が代わる件は、岩野専務が以前、『だれの人事考課もつけたくない。その時間を原稿執筆にあてたい』とおっしゃっていたこともあって、今度はあなたの部下になるわけですね。なお、岩野専務から『お客さんとの電話の声がうるさくて執筆に集中できない』と言われたことがあります。この際、岩野専務からできるだけ離してもらいたい」

 後日、ふたたび田宮部長がわたしをミーティングルームへ呼んだ。

「希望通り岩野専務から離したけどこれでどう?」

「この机の向きを逆にしてほしい」

「それはダメと岩野専務から言われている」

「ということはヤマト王権に背を向けさせられた出雲大社ということですか? わかりました」

 わたしの部署の業績は好転していたが、アメリカから帰国報告して以来、家族のことで遅い時間に遅刻せざるをえない事情もあり、席がほぼ隣同士ながら疎遠になっていて、「窓のほうを向いて座るように」と通告されたのだろう。

 ついに人生初の窓際族だ。

 12月の株主総会では加藤佳寿夫相談役(当時)から3度目の「山ノ堀くん、バカだな」と言われた。

「なんで次長なんだ。きみのことだから自分で降格を言ったんだろう。ぼくがせっかく昇格させてやった部長職を勝手に降りるな。役職はなにがあっても自分から手放しちゃいけない。きみはサラリーマンとして失格だよ」

 加藤相談役には「すみません」と頭をさげるしかなかった。

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