226.音楽の通知表が「1」から「2」になった!

  1. 朝飯前の朝飯

音楽の通知表が「1」から「2」になった!

 会社を遅刻して、あさイチで三男の中学校の音楽科担任、氏方広美教諭を訪ねる。

    長男が音楽が1だったことを長男の1学年上の先輩の父親に話すと、「1や2がある場合、進学校いやがります。高校教師の妻は息子の中3の音楽の成績にクレームをつけて『2』を『3』にしました」と言われたことを思いだしながら対峙した。

「山ノ堀の父親です。息子の通知表の件でうかがいました。音楽で『1』がついていますが」

「授業態度が悪かったのが2回。笛を忘れてきたのが3回。笛のテストもよくありませんでした」

「先生にとって音楽ができない息子は目の上のたんこぶなのかもしれません。しかし学校の先生は、できない、わからない生徒を引き上げるからこそ“教師”といって尊敬される存在ではないのでしょうか? 先生の吹奏楽部の指導力、名声は転校生やその親にもすぐに漏れ伝わってきました。そのパワーをどうか、できない、わからない生徒にも注いでいただきたいです」

「わたしはちゃんと授業し、採点しているつもりです」

「息子は前の千葉の中学校で1学期の音楽の成績がこのように『4』でした。2学期制なら1学期も加味するので『3』か『2』ではないですか? 相対評価の時代なら『3』が38%も占めていましたよね」

「1学期が『4』でも2学期がひどければ『1』だってつけられます。それと、その千葉での成績をわたしは担任から渡されていません。見てないものをどう参考にしろとおっしゃるのですか?」

「先生、ちょっと待ってください。ふつうの組織であれば『〇〇さん、資料がまだでていませんよ。だしてください』って気づいたほうが言いませんか? それからすると先生も気づかなかった、要求しなかったということで瑕疵(かし)です。ひとりの生徒が高校に受かるか落ちるか、一生を左右するかもしれない重大な事項だと思いますが」

「わかりました。『3』はムリですが、『2』に直して再度担任から渡します」

「再検討ありがとうございます」

 夜、三男に厳命する。

「高校でも野球をしたいのであれば授業で二度とふざけるな! 自分がふざけていないと思っても、先生に思わせたらアウトだ。今後は内申書を1点でも高くするよう努力せよ!」

「わかった」

「ところで千葉のときは『先生が怒っているから静かにしよう』とかいって先生を助けていたじゃないか? あのときの正義感はどこへ行った?」

「千葉ならしたけど、東京だとするつもりはない」

「東京でもそうしてくれたら父はうれしい」

「……」

    三男は「わかりました」とは言わない。

    きっと千葉では影響力があったのでなにを言ってもゆるされるところがあったが、東京では様子見をしているのだろう。

 音楽の成績をめぐりクレームをつけたことが三男にとって吉と出るか凶とでるかわからない。

 それでも父親として最善をつくした。

 これからの三男の奮起に期待するしかない。

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