お盆前に妻の友人等が焼香にくる
三男を早めに起こして、一緒に食事をとり、愛犬ここあにも食事を与えるように言う。
8時前に家を出てグラウンドへ着くと、父親たちは芝刈り、水まき、小石拾い、グラウンド整備と思い思いの作業をしている。
わたしは草刈り機でグラウンド外の草を刈る。
そのうち徳川洋文監督の怒鳴り声。
「JTBはまだか? おれは待ち切れないから平山グラウンドへ行くぞ!」
「(監督夫人が)渋滞で遅れているみたいです」
JTBの大川充三氏が、悪びれるふうもなく涼しい顔でやってきたので監督夫人が爆発する。
「初めてじゃないんからでる時間わかるでしょ! だいぶ待たされた! なに考えているの?!」
大川氏の白い顔が急に紅潮。
しばらく経って、大川氏の説明が始まったが、A4判1枚のアメリカ応援ツアーのコピー用紙は手書き、しかも出発時間と到着時間が逆で、父親たちが声をあげる。
「おいおい大丈夫かい?」
「ひとり40~50万円払うのにこれか?」
監督夫人が黙っているので他の父親たちのトーンも下がり、大川氏が話を進める。
「選手と保護者では航空会社も到着の飛行機も違います。牛肉の類は米国内に持ち込めません。液体の化粧品は小分けして機内へ持ち込んでください」
わたしはマイルについて質問する。
「コンチネンタル航空はJALかANAと提携していますか? 旅行代金のカード払いは可能ですか?」
「提携はないが、コンチでマイルをためれば商品券をゲットできるのでぜひ利用してください。保護者はカード払いで差し支えありません」
このカード払いについての質問が効果的だったようで、監督夫人、日坂父、雨方母、籠山母などが順にカード番号を記載していく。
そんなとき次男が中退した高校の同期の川口父からメールが届き返信する。
「お盆前に焼香をあげさせてもらいたい。お邪魔したいが家にいますか?」
「いまリトルリーグのグラウンドへいて14時以降なら帰宅できます」
川口父は予定通りきてくれ、近況を伝えたあと帰って行った。
16時半になったので三男を迎えに行こうと家をでる。
その後、岡山県から妻の友人が二男を伴い線香をあげたいというので、大網駅まで迎えに行く。
大学受験という長男は母親似で、サッカーをしている。
志望校を聞くと、大阪の公立大学とのこと。
わが家は唯一長男にチャンスがあったが県立高校を落ち大学付属高校へ進学して剣道づけの3年間を送った時点でムリだ。
わが子を想い浮かべ、「ええなー!」と伝えると、「離婚し生活に余裕がないから」とのこと。
わが家も同じく生活に余裕がないのだが……。