「財布がなくなったので探していた」
大阪から起ちあげの東京店へ転勤となった長女が「遅刻だよー。大網駅まで送ってくれない?」と言ってわたしの部屋へはいってきた。
階段をドドドッとおりて、目ざめから1分でノアのハンドルを握りエンジンをかけ、Tシャツとトランクスというほぼ下着姿で運転したのは人生初だ。
もし交通事故でもおこしたら醜態をさらすわけで、長女には「もっと余裕を持って行動してくれ!」と説諭する。
駅からもどると、目覚まし時計がリリリンと鳴っている。
シャワーを浴びて着がえ、食事をとらないで家をでる。
月曜はできるだけ早めに出勤するよう努めているからだ。
会社には8時すぎに着く。
母たちが田舎へ帰って行ったので、さみしがり屋の三男から夕方に電話がかかってくる。
「何時に帰るの?」
「わからんけど、食べに行こうか?」
「回転寿司へ行きたい」
「(次兄は)いるか?」
「いない」
次男と連絡をとる。
「どこへいる?」
「アメリカへ行くためパスポートの申請に行ったが、親のサインがないからダメだった。用紙を持って帰っている」
その次男が帰宅したのはパスポートを発行してくれる東金の山武地域振興事務所の閉所時間、16時半から相当時間がたった22時。
今度は「財布がなくなったので探していた」というが、屋外であれば暗くてなかなか探せるものではないだろう。
次男が財布をなくすのは年中行事で、父親としてその都度、むなしくなる。
先日入店した坂東太郎の経営理念「親孝行」に、わが家は相当時間がかかりそうだ。