89.千羽鶴に母親快復の祈りを込める

  1. 朝飯前の朝飯

千羽鶴に母親快復の祈りを込める

 朝は自分たちの食事よりも、まずはキャンキャンと啼く愛犬ここあの面倒だ。

 便所だけでなく、あちこちにおしっこをしているので拭き掃除が大変だ。

 その日は、ここあに抗生剤をパンにつめて与える。

 その後、ようやく人間がご飯にありつける。

 三男には前夜につくった味噌汁を温めて「大畑誠也さんという立派な元校長先生が『箸が立つぐらい具材豊富な味噌汁が栄養豊富でいい』とおっしゃっていたからな」と言って食べさせる。

 次に前週金曜にだしそびれたゴミを含めて3袋を車のトランクにつめる。

 昼間に妻から「次男がバイクで千葉東金道路に乗って来てくれた」とのメールがくる。

 夕方、自宅へ電話すると三男がまたひとりで留守番していて開口一番、「おかあさんの病院へいつ行けるの?」だった。

 かわいそうで、切なくて、長女・長男・次男へメールした。

「おまえたちはおのおの勝手に病院へ行っている。いちばん小さい、いちばんおかあさんに会いたいはずの弟を置いておかしくないか? おかあさんと、もう4日も会っていないんだぞ!」

 3人からの返事はない。

 三男に「ほしいものはあるか?」と連絡したら「なんでもいい」とのこと。

 ジャスコ(現/イオン)へ寄って、寿司とお好み焼き、たこ焼きを買って帰ると、次男と三男が鶴を折っている。

 次男には改めて「おかあさんのところへ行くときは弟も連れていってやれ。もちろん電車でな。千葉駅から10分おきにバスが出ているから」と口頭で伝える。

 夕食後、3人でテレビを見ながら「おかあさん、治るといいね」と言いながら千羽鶴を折り続ける。

 わたしが座っているところは壁に穴が開いていて外からヒューヒュー風が入ってくるので、次男と言葉の掛け合いになる。

「おまえが壊したせいで寒いぞ!」

「おれの部屋の壁を叩いたときは、指を折った」

「家中のあっちこっちを壊したよな! 指1本どころか全部折ったらもう壊せられないな(笑)」

 五百まで折ったので千羽までもう半分だ。

   この日、妻は「体がだるい。横になる。いままででいちばん体調が悪い」と日記に書いていた。

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