三男がバンクーバーへ向けて飛びたつ
2月の、晴れているが寒い日だった。
羽田空港に三男の高校と大学の同級生30人が見送りにきてくれた。
なかには三男が大学入学以来つきあってきた、元高校の野球部マネージャーの顔もある。
ただし今回の語学留学で三男は「別れ」を切りだしたという。
「1年間はなればなれとなる。おたがいにあたらしい道を歩もう」
もちろん中学1年から高校3年までの盟友の遠野くんの顔もある。
野球だけ取り組んできたのかと思ったが、友だちづくりにも励んだのだなあと目をほそめた。
わたしはたのまれて三男とその友だち30人の記念写真を撮ってやる。
三男はわたしと姉(長女)、次兄(次男)に声をかけた。
「行ってくるよ」
「達者でな!」
「野球で鍛えているから大丈夫だよ」
三男はエア・カナダでバンクーバーへ向けて飛びたった。
今回の旅程や語学学校さがしなどエージェントとのやりとりの一切を、あれだけめんどくさがり屋の三男が自分ひとりでやりきった。
新妻の意見をいれて2年間ひとりぐらしをさせて、自主性が芽ばえ本当によかったなと心から思う。