265.婚前旅行

  1. 朝飯前の朝飯

婚前旅行

 大学受験の次男につづいて高校受験の三男も岡山の実家へ帰した。


 三男から「年末年始、おとうさんはどうするの?」と質問され明確に答えられずお茶をにごした。


 というのが、奥星余市PTA笹原母から旅行を提案されたからだ。


「山さん、年末年始に旅行へ行かない? 南西が吉報らしい。空いているホテルを調べて!」


「わかった」


 わたしは東京から「南西」にあたる宮崎県内や鹿児島県内のホテルを徹底的に調べたが満室で該当がない。


「宮崎や鹿児島のホテルは満杯だ。南西にこだわることないんじゃない?」


「ダメ! 沖縄はどう?」


「(方位など縁起を担ぐ女性はめんどくさいなと思いつつ)えっ、沖縄? もう直前なので早割が効かないから高いよ」


「高くてもいいじゃん!」


    質素倹約を旨とするわたしは「高くても」に反応したが……。


    亭主関白で右のものを左にもおかなかったわたしが、老いらくの恋、ほれた弱みでふりまわされる。


 再度、沖縄を調べると、北谷町のシーサイドホテルザビーチの高層階ツインが空いていた。


 笹原母も了解した。


 実家のふたりには「沖縄へ行ってくる」と告げて、われわれは機上のひととなった。

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