「英語ほか3教科が0点になります」
三男は都立江東高校入学後すぐに野球部へ入部し、朝練も夕練も元気に参加する。
そのぶん、わたしは毎朝5時に起床し、朝ごはんと弁当作りを日課にした。
リトルリーグやリトルシニアでは朝起きないこともあったが、高校の野球は楽しいのか自分でかならず起きてくる。
しかし食が細い。
「帝京や横浜へ行っている同級生は1回に2合飯を食べているっていうじゃないか? 食べなきゃ甲子園に行けないぞ!」
「朝からそんなに食べられない」
「弁当だってまるまる残して帰ることがあるじゃないか?」
「忙しくて食べられないときだってあるよ」
文武両道の都立高校なので中間テストや期末テスト前の1週間は部活動禁止だ。
野球大好き人間の三男から覇気が消える。
1学期の中間テスト初日の朝、三男は発熱と腹痛に襲われる。
わたしは担任の浦本教諭へ電話をする。
「息子が体調をくずして寝ています。きょうは休ませてもらえませんか?」
「こまりましたねー。きょうから英語ほかの中間テストです。休むと3教科0点になります。念のためクリニックで診察してもらってください。あすも休むようなら連絡ください」
「わかりました」
自宅から近所のクリニックへ連れて行くと、「急性ストレス性胃炎でしょう」と診断された。
二日目からはなにもなかったように元気に登校したので、ストレスの原因は英語のテストだったのだろう。
英語が苦手というのはわたし譲りだろうからあまり強く言えない。