272.「この学区を不登校ゼロにする!」

  1. 朝飯前の朝飯

「この学区を不登校ゼロにする!」

 三男の中学校で卒業証書授与式が行われる。

 おごそかな雰囲気のなか三男の口からは笑みがこぼれている。

 千葉の中学校から男子を転校さて、片親で育てるにはこの北区立中学校の学区は最高の環境だった。

 よくPTA会長やおかあさんたちから「息子さん、○○公園にいましたよ」とか連絡をくれた。

    そのつど、三男と会話した。

「おい、きょうは◯◯公園にいただろう?」

「えっ、どうして知ってんの?」

「テレパシーだ。悪さをしていても一発でわかるからな!」

「へーっ」

 三男は近所の人たちからもよく声をかけていただきかわいがられた。

 この中学校は公立なのに「不登校ゼロ」が特長だ。

 元PTA会長の原さんが中学校にかけあい「ひまわり学級」というひきこもりや不登校生の受け皿をつくった。

    小学校時代に不登校だった生徒宅を1軒1軒訪問し、「中学校では、わたしが責任もっていじめをさせません」といって呼びかけた。

 やんちゃな生徒には「おまえはいい子だ。わるいことはするなよ。いじめるなよ」といってあたまをなでたり愛撫したことが大きい。

 元不登校生からもやんちゃからも慕われる原さんの口癖は「みんないい子だ!」「この学区を不登校ゼロにする!」だが、真にその通りになっている。


 こういう方こそ叙勲の対象と思う。

 PTA広報誌の印刷も卒業式にまにあい広報委員長として責任を果たすことができた。

 夕刻、卒業を祝う会(北区立滝野川会館)へ参加して、校長はじめPTAの面々とグラスを傾け3年間の礼を述べた。

 この学区へ転校して本当によかった。

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