「おやじさん、4.8も5.0も一緒じゃないですか?」
北海道の高校で2年生の次男から連絡がある。
「3学期の期末テストが終わって、内申書が5段階評価で4.8になったよ」
「よくがんばったな。でも、約束の5.0じゃないから大学はあきらめろ」
「ガチャン(次男は返事をしないで電話を切った)」
しばらくして担任のイエティーこと家田堅太郎教諭から電話がある。
「おやじさん、4.8も5.0も一緒じゃないですか? 息子を(指定校推薦で)大学へ行かせてやってくださいよ」
「大学へ行かせても遊ぶだけじゃ意味がないでしょう? これまで高校でもさんざん遊んできたんですから」
「わたしも大学ではあまり勉強していません。でも大学へ行ったことでこうして教壇に立てたり職業選択に幅ができました。一瞬でも将来について考える場になると思います」
「わたしも大学ではたいして勉強していません。家田先生がそこまでおっしゃるのであれば息子の大学進学について前向きに考えましょう」
「そうですか? 息子も喜びますよ」
それにしてもイエティーのことをあれだけ「うるさいし、こまかすぎて腹がたつ!」と嫌がっていた次男が、こういうときは味方につけるんだなーと思う。
次男へふたたび連絡する。
「大学進学の件、不承不承だが了解した! 引き続き3年生でも5.0をめざせ!」
「わかった」
「ところでどこの大学や学部へ行きたいんだ?」
「関東。学部は考えていない」
「最後まで、けっして手を抜くなよ」
「ああ」
わたしの杞憂「けっして手を抜くなよ」が、あとで取り返しがつかない現実のものとなる。