NYヤンキース井川慶、A・ロット選手が迎えてくれる
ホテルのレストランで雨方ファミリーと日本リトルリーグ野球協会の志村会長夫妻と話していると、徳川監督夫人がやってきてこう述べる。
「きょうのコンソレーションゲームはなくなったわよ。ジョージアもあんな死闘を繰り広げたのじゃしかたないわね。朝、主催者から『昨晩、監督の帰りが遅かったので、次の対戦相手を決められなかった』と言われたらしい。ジャパンと対戦したいというチームは多いからやるかもしれない。ただし、きょうは14時にヤンキースのトリプルAのホームゲームを見に行く。それまでゆっくりしてていいから」
部屋に戻って会社の仕事をするが、この時間は日本では金曜の21時半すぎで、連絡しても返事がない。
信頼できる平岡寛和次長からも「発熱のため、頼まれていたCDのダイレクトメール販促を週明けにさせてください」とメールがきている。
10時前に雨方父の運転でショッピング。
最初のお店「T.J.Maxx」は川くだりの日にランチを食べたという日本レストラン「一番」の並びにあり、ナイキやアディダスの衣類やシューズが安いのでスタジャンやTシャツを購入。
2軒目のウォルマートではショップ店員にラングラーのジーンズのサイズを聞いたりしたが日本で国産を買おうと思いやめた。
14時バスに乗り、2時間かけてペンシルベニア州ラッカワナ郡ムージックのスクラントン球場へ到着。
トリプルAのスクラントン・ウィルクスバリ・ヤンキースの面々が迎えてくれ、元阪神タイガースのエース、井川慶投手から話しかけられる。
「マイナーリーグはメジャーと違ってイベントが多いです。楽しんでください」
井川投手はジャパンの選手や保護者たちにサイン後、選手とのQ&A。
「アメリカでどんなことを心がけて野球に取り組んでいますか?」
「マイナーで選手が必死に頑張っている姿を見て刺激を受けている。バッターは速い球に神経を集中し、打って走って下半身の土台をつくる。ピッチャーはまずストレートを磨く。変化球のカーブ、スライダーは回転数が重要。キャッチャーはアメリカの場合、キャッチングもリードも甘く、日本のほうがレベルが高い。食生活がいちばん重要で、朝・昼・晩をしっかり食べる。ここにはコンビニがないので大変だ。試合中に意識していることは、次のバッターをどう抑え込むかのイメージだ」
「ぼくは背が低いのですが、野球を続けられるでしょうか?」
「身長が低いことはあまり気にしなくてもいい。ぼくも中学1年生のとき1メートル58センチくらいだった。答えにくい質問だ(笑い)」
「試合前の練習は?」
「選手個々に任されている。ぼくはストレッチとウォーミングアップ程度。野手も試合の2~3時間前から会場入りしてくる。とにかく充分な準備体操でケガのリスクを少なくして試合に臨む」
「ピッチャーとしてとくに心がけていることはなんですか?」
「中学1年生には難しいけど、コントロールかな? 自分のペースに持っていけるピッチャーが強い。相手に『負けたくない! 勝ちたい!』という気持ちが大事。そのために毎日地道にトレーニングを積み重ねる。薬はリスクがある。引退後の人生のほうが長いので要注意だ」
「オフの過ごし方は?」
「自分の部屋がいちばんリラックスできる。ほとんど野球のこと以外考えないが、ダーツや草サッカーもたまにやる」
「この球場はどうですか?」
「天然芝は膝にいい」
「尊敬している選手は誰ですか?」
「長くプレーしている下柳剛投手や工藤公康投手だ」
一行はグラウンド、投球練習場、選手控室、打撃練習場、トレーニングジム、メディカルルーム等を見学させてもらう。
広い選手控室で有望株のオースティン・ジャクソン外野手とシェリー・ダンカン一塁手、ケガで調整中のアレックス・ロドリゲス(A・ロッド)遊撃手たちが笑顔で迎えてくれた。