170.「財布がなくなったので探していた」

  1. 朝飯前の朝飯

「財布がなくなったので探していた」

 大阪から起ちあげの東京店へ転勤となった長女が「遅刻だよー。大網駅まで送ってくれない?」と言ってわたしの部屋へはいってきた。

 階段をドドドッとおりて、目ざめから1分でノアのハンドルを握りエンジンをかけ、Tシャツとトランクスというほぼ下着姿で運転したのは人生初だ。

 もし交通事故でもおこしたら醜態をさらすわけで、長女には「もっと余裕を持って行動してくれ!」と説諭する。

 駅からもどると、目覚まし時計がリリリンと鳴っている。

 シャワーを浴びて着がえ、食事をとらないで家をでる。

 月曜はできるだけ早めに出勤するよう努めているからだ。

 会社には8時すぎに着く。

 母たちが田舎へ帰って行ったので、さみしがり屋の三男から夕方に電話がかかってくる。

「何時に帰るの?」

「わからんけど、食べに行こうか?」

「回転寿司へ行きたい」

「(次兄は)いるか?」

「いない」

 次男と連絡をとる。

「どこへいる?」

「アメリカへ行くためパスポートの申請に行ったが、親のサインがないからダメだった。用紙を持って帰っている」

 その次男が帰宅したのはパスポートを発行してくれる東金の山武地域振興事務所の閉所時間、16時半から相当時間がたった22時。

 今度は「財布がなくなったので探していた」というが、屋外であれば暗くてなかなか探せるものではないだろう。

 次男が財布をなくすのは年中行事で、父親としてその都度、むなしくなる。

 先日入店した坂東太郎の経営理念「親孝行」に、わが家は相当時間がかかりそうだ。

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