127.「頭のもやもやがとれ、視界も広がった」

  1. 朝飯前の朝飯

「頭のもやもやがとれ、視界も広がった」

 妻が千葉県循環器病センターのガンマ治療棟のMRI室へ入るとすぐに、長女から「(三男と)病院へついた」のメールがきた。


 同時に看護師さんから「装着が終わるまで室外へでておいてください」と言われる。

 見た目と違ってやさしいギャル風メイクの事務員さんがDVDプレーヤーを運んでくれたので、病室で三男たちの千葉リトルリーグでの活躍の様子を見た。


 昼前に三男が「友だちと約束しているので帰る」と言い出したが、循環器病センターから自宅までは車で約40分かかる。


「なんでおかあさんに会えないかもしれないのにとんぼ返りで友だちと約束するんだ?」


 わたしは子どもの言うことをはいはいと受け入れるタイプではないが、自宅に義父がいたら病院へ連れていってあげようかとか、妻にたい焼きを買って届けなければとかの思惑からカローラで送っていくことにした。


 途中で三男が「回転ずしへ行きたい」と言うので、はま寿司へ入店すると、「シャコがある! ネタが新鮮だ」と言って喜ぶ。


 家に戻ると、義父が椅子に座って寝ていたが病院へ誘う。

 その後、妻が三男といつもふたりで食べていたというベイシアのたい焼きとおいしそうな弁当をと思っていたところ、長女から「15時に医師から説明があるみたい」というメールが来た。


 わたしは急いで病院へ向かい、長女には「了解。6階のレストランで食べよ」と伝える。


 病院へ着くと、長野治医師は外来の対応をしていて、説明が1時間遅れの16時からになる。


「きょうは5センチの最も大きい患部の3分の1を照射、6月15日~17日、6月29日~7月1日も3分の1ずつ行います」


 つづいて長野医師と妻との会話になる。

「どうですか?」

「頭のもやもやがとれた感じで、視界も広がりました」

 わたしは思わず「先生、ありがとうございます」とお礼を述べた。

 1階のガンマナイフ病棟から506の一般病棟へ移る。

 長女が「家に帰るので車の鍵を貸して」と言うが探しても見つからない。

 しかたなくカバンの中のスペアキーで帰らせる。

 妻は「車椅子なしで歩いて散歩する」と言うのでつきあう。

 6階のレストランで夜定食を食べようと思ったが18時以降とのことで病室へ戻ると、妻がひとりで夕食を食べている。


 食後、妻は免疫ミルク、AHCC(活里)、びわの種……と、サプリメントのフルコースを進んで服用している。


 その後、妻の元気な様子を義兄、父母、妹弟、子どもたちに写メールで伝えたところ、みんなから喜びの返信がある。


 妹からは別件だったのでメールをやりとりする。

「平日は会社へ行って、もっと長女を使えばいいんじゃない? 言いにくければわたしが言う!」


「ありがたいがあなたから一方的に言って本人が余計やる気をうせても困る。おれから言うから大丈夫だよ」

 驚異のガンマナイフによる放射線治療だ。

 妻は思考と視界が広がったことで気持ちの明るさもとり戻した。

(つづく)※リブログ、リツイート歓迎

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