1. プロローグ

  1. 朝飯前の朝飯

   妻の背中に1ミリ台の白い突起物ができた。

   地元のクリニックでは「切ってはいけない」と言われながら千葉市土気(現・千葉市緑区土気)の診療所で「切りましょう。大丈夫」と言われた。

   妻は「大丈夫」のことばを信じて切開した。

   だが、根っこを残して切ったためか、やがて切っても切っても黒く肥大化する。

   千葉大学付属病院では、「メラノーマ(悪性黒色腫)、いわゆる皮膚ガン。黒さといい大きさといいステージ4で、5年以内に死にいたる確率は80%」と宣告された。

   目の前が真っ暗になりながら、同時に「10年もてば大丈夫」のことばを信じた。

   第四子の帝王切開の2週間後に、背中の患部と脇のリンパ節を切り取る大手術が行なわれた。

   妻は10年もったが、12、3年後に肺と脳へ転移、メラノーマが再発し、再び闘病生活へ。

   家族は一縷の望みを信じて協力しあったが……。

   これは起伏に富んだ二十余年の家族の記録だ。

※リブログ、リツイート歓迎

アメーバブログへ

関連記事

朝食前の朝食_アイキャッチ

36.長女・長男の小学校運動会

長女・長男の小学校運動会 10時に生保会社の矢尾陽子所長(当時)から電話がある。「『約十年前から背中の皮膚腫瘍が……』という記述では本部審査にパスしない…

朝食前の朝食_アイキャッチ

32.貧乏子だくさん

貧乏子だくさん 昼前に親会社の菊田明信広報室長から自宅へ連絡が入る。「あす湘南にお住まいの創業者・会長のお宅へ取材で訪問するので同行してほしい」…

朝食前の朝食_アイキャッチ

37.妻の背中の消毒

妻の背中の消毒 衣替えの10月だ。 きのう夏服で出勤して少し寒く、きょうはさらに合い服が正解と思えるくらい涼しい。 高森…

朝食前の朝食_アイキャッチ

300.夢のような日々

夢のような日々 遡ること4年前の平成27年7月のこと。 遠縁の乃木希典夫妻の乃木神社へ参ったあと、新妻が「きょうは料亭で誕生日祝いをしてあげ…