231.「おまえのおとうさんはいいひとだ」

  1. 朝飯前の朝飯

「おまえのおとうさんはいいひとだ」

 会社からの帰宅後、三男が話しかけてきた。

「おとうさん、きのう中学校でなに話したの?」

「2年生緊急保護者会で、ある保護者が『授業を妨害する生徒の親はこんな重要な会合にも顔をださない』と言うから『だしたくてもだせない。なぜなら子どもが褒められれば毎日でも学校へ行きたくなるが、子どもに問題があれば肩身が狭くて学校には足が向かないものだ。わかってほしい』って発言した。だれかなにか言っていたか?」

「同じクラスの高鷲が『《おまえのおとうさんはいいひとだ》とうちの母親が言っていた』と話しかけてきた」

「高鷲くんのおかあさんてどんなひとだ?」

「美人だよ。高鷲もイケメンだ。おとうさんが亡くなっているのでうちと反対だね」

「そうか、もし機会があれば紹介してくれ」

 そういえばきのう緊急保護者会でわたしの発言に大きな拍手をしてくれたひとがいた、それから会合が終わって中学校の校門下の坂のところで「山ノ堀さんですか?」と声をかけられた。

 暗くて顔がよく見えなかったが、両方とも高鷲母だろうか?

 浮いた話がまったくないなか、想像をふくらませて喜んだ。

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