261.「その学校に魅力はあるのか?」

  1. 朝飯前の朝飯

「その学校に魅力はあるのか?」

 年末に千葉市リトルリーグを三男と一緒に訪ねる。

 徳川洋文監督は2年前に卒団した中3生にひとりずつ進路を尋ね、三男の番が回ってきた。

「どこへ行くんだ?」

「私立の高校です」

「そこへ何回行った?」

「1回だけです」

「ほかはいくつ見学に行った?」

「行っていません」

「その学校に魅力はあるのか? もし野球ができないからだになっても学校の魅力があればつづけられるが、そうでない場合、退学するかもしれないだろう。だったら最低でももう2校は見ておけ!」

 三男は「はい」と言いながら明らかにイヤそうな表情になる。

 徳川監督の言うことを聞くと、リトルシニアの鵜飼實斗監督から叱られると思ったのだろう。

 わたしは徳川監督に「ありがとうございます」と礼を述べる。

 帰りの車の中で三男に話しかける。

「S大付属高校以外を見学したからって鵜飼監督の顔をつぶすことにはならないだろう。他の高校も見学すれば徳川監督の助言を聞いたことにもなる」

「遠野が都立江東の練習を見に行くと言ってたからおれも同行してみるよ」

「あそこは偏差値が63と高いから通らないだろう。あと都立雪谷はどうだ? 同校卒業生で熱血漢の相原健志監督(当時)がほぼボランティアで指導されている。『強くなるためには心を鍛えることが重要だ』と言って部員とともに学校の周りの掃除もしていて評判だ。一緒に行こう!」

「わかった」

 ツルむ性格の三男は、遠野くんが受験する都立江東にも興味を示してきているようだ。

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