224.次男が殴った壁穴補修代「10か所30万円!」

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次男が殴った壁穴補修代「10か所30万円!」

 次男の不祥事で散財し、わが家から蓄えが消えた。

 三男も東京の生活に慣れ、もう「千葉へ帰りたい」とは言わないだろうと思い、千葉の家を貸しだすことにして、広告募集・賃料管理を外房開発の木水昭博社長に依頼した。

 5LDKの1か月の賃料は駅から車で10分と離れているため月75,000円と破格だ。

 広告を出したその日に外房開発から「提携先の四越不動産に入居の希望がありました」と連絡がある。

 しかも入居希望者が広島県福山市出身というから驚きだ。

 福山生まれの亡き妻が引き寄せてくれたのかもしれない。

 木水社長は「飲み友だちの四越不動産が紹介手数料を1か月ほしいと言っています。うちと四越さんに1か月ずついただけませんか?」と言う。

 わたしはムシがいいな、どうせふたりの飲み代に消えるのだろうと思いながら「即日で決めていただいたので……」と応じた。

 早速、「4月1日から入居したい」と言うので、わたしは2週連続で土日に千葉の家をかたづけに行った。

 長女も1日手伝ってくれた。

 どうしてもいるものだけを東京の家へ持参するように愛車ノアにいれたり、実家で預かってもらうようヤマト運輸を手配し、残りの2トントラック2台分の廃棄を大里綜合管理に依頼した。                                                                  

 リホームの見積りは三建リホームの横田三吉社長にたのむがいつもよりも高いような気がして質問する。

「横田社長、今回の見積りで値引けるところはないですか?」

「家のなかに10か所、殴って壁に穴が開いているところがあります。1か所3万円、10か所で30万円です。これをそのままにしてよければ30万円安くなります」

「次男が殴った穴が10か所もあるのですか? そのままにしておくわけにもいかないので見積りどおりすすめてください」

 確認すると、補修箇所はいずれも小物をおくのに都合のよい素敵な小窓のようにしあがっていた。

    次男の不祥事で金欠になり、その穴埋めでも次男が関わっているとは皮肉だ。

 ハウスクリーニングは奥星余市PTAの白坂父にたのむ。

 いつもはフレンドリーな大阪弁だが、今回は標準語でえらい低姿勢なので商売人だなと思う。

 お金を生むためにかなりの投資になったが、1年借りてくれたらトントンになる。

「これで受け入れ体制は万全だ!」、わたしは顎をさすりながらひとりごちた。

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