203.母親を失ったとき以来、久々に涙する三男

  1. 朝飯前の朝飯

母親を失って以来、久々に涙する三男

 きのうの中学校の体育祭から帰宅して睡魔に襲われた。

 眠りからさめ、時計を見ると12時半だ。

 ほぼ一日寝つづけたことになり、背中が痛い。

 三男に「坂東太郎へ寿司ランチを食べに行こう」と声をかけ、ふたり家族会議だ。

「体育祭、ごくろうさん! きのうから一度も起きないでほぼ24時間寝たのなんて初めてだな」

「おとうさん、よく寝てたね」

「ご飯の心配もせんでわるかった。これ以上、起きていたら死ぬかと思ったからなー!」

「ぼくのことなら心配しなくても大丈夫だよ」

「ところで、毎日残業して、片道2時間の通勤時間をかけて帰って、このまま飯の用意、洗濯、掃除をしていたら、ふたりともつぶれると思う。4月に入学したばかりで転校して友だちと別れるの、寂しい気持ちもよくわかるが、東京へ越さないか?」

「イヤだ!」

「東京の学校があわなかったらまた大網へもどろう」

「……(三男は下を向いて黙ったままだ)」

「そのためおかあさんと暮らした思いでの家も、売らないでおいておくから」

「ほんとだよ。イヤなら絶対にっちへもどってくる。あの家、必ずおいといて。約束、だよ」

 三男はなみだ声だ。

 母親を亡くして以来、気丈にふるまっていたが、久々にしくしくと泣きだした。

「ああ、絶対に嘘はつかない!」

 三男の涙を見て可哀想と思うが、ここは東京転居に向けて一歩前に踏み出すしかない。

 わたしは腹を固めた。

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