予選リーグ初戦を突破する!
アメリカ滞在、実質2日目だ。
朝食をとりにホテルのレストランへ足を運ぶと、夜ふかしの長女等の顔がある。
「眠そうだな?」
「トランプの大富豪等をしてた」
わたしはルームメートの川上父と11時からのベネズエラとキュラソーの試合、ジャパンの練習、のいずれに行こうか思案していた。
そこへ徳川監督夫人から「練習場に球拾いの人間がいるので早く集まって」と指示があり向かう。
ホテルから練習場まではラマダスタジアム等を横目に歩いて20~30分ほどかかるような遠方だ。
外野のさらに向こうには鉄道の線路がある。
ウィリアムズポートといえばむかし林業で栄えた町だ。
ここから材木が全米各地に運ばれたらしい。
貨物列車が走れば何輌も連なるそうだが、その日は見ることができなかった。
ジャパンの練習は暑いなか、気合いが入っている。
若田選手や井村選手など主力がポンポンと外野へ打ち込むので球拾いも容易ではない。
ボールを失ってはいけないので打者が金属バットをふるたびに方向を見定めてさがしに走る。
練習後、われわれがタオルで汗を拭いていると、監督夫人から「ご苦労さま」と声をかけられる。
夕方、ジャパンと父兄たちはボランティアスタジアムへはいる。
いよいよ18時に予選リーグ初戦で中東・アフリカ代表のサウジアラビアとの一戦が始まる。
ジャパンは初回、山田選手の2ランホームランで先制。
同点においつかれた直後の3回にはピッチャーで3番バッターの若田が特大の2ランホームランを放つ。
4回には相手チームのエラーで追加点をあげ、そのまま逃げきった。
初戦の重圧も感じられるなか、無難な試合展開だ。
ただし妻がボランティアスタジアムへ舞いおりたようには感じられなかった。