156.「おなかが空いて! 空いて!」

  1. 朝飯前の朝飯

「おなかが空いて! 空いて!」

 子どもたちにとって最愛の母親が病没して1か月近くなる。

 妻は亡くなるまえに「長男だけが心配だ」と言いながら逝った。

 長女は、楽天家で中学時代に中間・期末テストの順位が悪いのに先生からウケがよく通知表の成績が抜群、社会人になってからも社長や先輩たちからかわいがられている。

 次男は誰がなんと言おうがわが道を突きすすみ、悪事をはたらいたのに千葉県警から「警察官になってほしい」とたのまれる、たくましさがある。

 三男は野球以外まったくやる気がないのに、そのことで支障がないほど要領のよさで人生を渡っている。

 その点、長男は母親を失ったショックを引きずりまったく覇気がない。

 なくした財布を探さないで、大学にももどらず実家にこもっている。

 わたしは「こいつをなんとか一人前の男にしないといけない。だが、どうしたらいいのだろう?」と思いながら悶々としていた。

 三男の水泳用のキャップを買うために東京駅18時発の特急わかしおに乗車しようとしたが乗り遅れ、18時16分発の京葉線快速の成東・勝浦行きに切りかえる。

 市ヶ谷駅17時52分発の東京メトロ有楽町線有楽町駅で降り、京葉線東京駅まで走ると、この快速電車に乗れることがわかった。

 誉田駅で車両切り離しがあり、後方の勝浦行きから前方の成東行きに乗り換える。

 大網駅東金線ホームでは前から3両目が階段に近くて便利がいい。

 自宅に着くと、三男が「ここあをどうしようか?」と尋ねるので「21時には帰れるだろう。外でいいよ」と答えて京葉ホームセンターながた野店に行くが定休日なのか閉まっている。

 仕方なく遠いカインズホーム茂原店へと車を走らせるも緑色のキャップがないのできょうはあきらめる。

 三男に「何が食べたい?」と尋ねると、「魚を食べたいのでとんでんがいい」と言うので茂原街道を南下する。

 店員から「鯵が新鮮です。飯岡漁港(千葉県)からとれたてを入荷しています」と言われ、わたしは鯵の寿司と蕎麦のセット、三男はとんでん定食を注文。

 三男は定食を食べてもなお「おなかが空いて! 空いて!」を繰り返すので寿司セットを追加注文した。

 レジで4,500円と言われ、毎食この値段であれば、わが家は破産だなと思う。

 三男には車の中で「これからふたりだけの生活が始まる。たがいに嘘をつかないで正直に言い合おう。父の言うこともちゃんと聞いてくれ」と話す。

 帰宅後、大里綜合管理の野老真理子社長へ電話する。

「ワンデーシェフのランチを三男とわたしの二食ずつ残しておいてくれることは可能ですか?」

「大丈夫だよ。あすからだったら」

「ありがとう」

 翌日、大里で残してもらっていたランチを夜に食べたが三男は「少ない」と言う。

 わたしはジャスコ(現・イオン)へもどって食料を買い込んだ。

 精彩を欠く長男が大学へ戻ったら、今度は三男の食事問題が露呈した。

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