153.「息子さんをほめてやってください!」

  1. 朝飯前の朝飯

「息子さんをほめてやってください!」

 朝、母・妹・弟からそれぞれ「Happy birthday !!」のメールが届く。

 7時34分発の快速東京行きのグリーン車へ乗る。

 グリーン券代はケチって市川までの購入だが、勘違いして手前の船橋で一般車両に乗り換えたのが悪かったのか、混み合ったなかで急に腹痛をもよおす。


 乗り換えの錦糸町駅のトイレにかけ込むべきだったのに、総武・中央線各駅停車に乗り込んでしまい、両国駅あたりから猛烈ににがり出し、秋葉原駅のトイレへ直行。

 こんなにでかい駅なのにトイレが1か所しか見あたらない。

 しかも6台しかない大便用にわたしの前に3人が並んでいる。

 わたしが先頭になってから特に時間が長く感じられる。

 腹のにがりがピークを迎え体を左右にゆすりながら汗をたらしていたら、髪ぼうぼうのフリーターらしき男がスローモーションで出てくるので「おいおい」と思いながら急ぎ入室。

 9時少し前に上司の岩野清志専務に「腹痛で10~15分程度遅れます」と遅刻の連絡。

 昼頃、長女から「何が食べたい?」のメールがくる。

 まだ腹痛の余波があり、「温かいうどんがいい」と返信。

 長女が腕によりをかけておいしい料理を作ってくれるのか?と期待して、20時半すぎに大網駅で長女と三男が待つ車へ乗る。

 しかし長女が「結局つくらなかった」と言うので多少ガクンとなりながらそのまま食べに行こうと思ったが、「愛犬ここあをなかへいれたか?」の質問に「いれていない」と答えるのでいったん家にもどる。

 中川屋は21時閉店、とんどんも明かりが消えている。

 あてもなく国道124号線を走り、釜めしのさとに入ると、「21時半、ラストオーダーです」といわれ了解する。

 わたしは稲庭うどん、長女は海鮮丼・うどんセット、三男はまぐろ丼をかけ込む。

 帰宅後、誕生日ケーキが待っていた。

 わたしはワイン、長女はどぶろく、三男はファンタオレンジで乾杯。

 大学生として静岡に暮らす長男からも「誕生日おめでとう!」のメッセージが届く。

 北海道の高校へ通う次男とは前日から弁論大会について電話で話をしていた。

「調子はどうか?」

「あすは弁論大会で発表する。練習してたら知らない3年生の先輩たちから『なにげに感動したよ』と声をかけられた」

「なにについてしゃべるんだ?」

「おかあさんについて」

「そうか。がんばれ!」

 そしてきょうもこちらから連絡した。

「結果はどうだった?」

「優秀賞だった」

「それはすごいな! おめでとう!」

「おとうさんも誕生日おめでとう」

「ありがとう」

 次男の担任の玉浦淳子教諭からは次のようなメールがはいっていた。

「『弁論大会へ誰かでてくれない? 1年生が少ないの』って尋ねたら『おれ、でようか?』って言ってくれたんです。日ごろ口数が少ないだけにビックリしました。大会の直前だったので原稿の棒読みになりましたが、『内容がいい』と評判です。1年生が受賞することもあまりないのです。おとうさん、息子さんをほめてやってください!」

 わたしは次男へ「玉ちゃんがほめていたぞ! これからもがんばれや!」とメールした。

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