152.「塾にヤな人間が入ったんで行きたくない!」

  1. 朝飯前の朝飯

「塾にヤな人間が入ったんで行きたくない!」

 この日は朝6時15分起床。

 三男は昨晩長女が作ったオムライスにハッシュドビーフをかけて食べながらひとことボソッと語る。

「おねえちゃんがつくったオムライスはなにげにおいしい!」

「父のハッシュドビーフは?」

「これお父さんが作ってくれたんだ。おいしい!」

「ありがとう」

「そうだ。成績表を見る?」

 前回の中間テストよりも20番ほど上がっている。

「ねえちゃんや、にいちゃんに比べるとまだまだだが、よく頑張ったな!」

 三男が愛犬ここあに餌を与えて登校しようとすると大雨が降りだしたので中学校まで送ってやる。

 わたしは7時34分発の快速電車へ乗車する。

 最近、グリーン車があまり混まないのは景気の減退かもしれないと思う。

 会社には9時ちょうどに着く。

 6月末ということで請求書の売上指示伝票を起票するなど忙しい。

 長女を千葉大病院へ行かせた。

 妻の「死亡証明書」入手のためだ。

 18時に長女からメールが来る。

「(末弟と)鎌取の焼肉店へ行くけど、父はどうする?」

「19時35分に鎌取駅で降りるから迎えに来てくれ」

 結局、焼肉はやめて妻と「一緒に行ってみよう」と言っていた、ユニモちはら台店にある中華料理店へ入る。

 長女は酸辣湯麺、三男は炒飯、わたしは五目あんかけご飯を注文。

 料理が食卓に並んでから、長女がことばを発する。

「朝から何も食べていないけど、辛いから食べられない」

「ご飯炊いたのに、父が作ったハッシュドビーフと一緒に食べなかったのか?」

「……(無言で答えない)」

 長女が残した酸辣湯麺は三男が平らげる。

 帰路、三男が長女に語りかけたのを機に、三人で会話する。

「順位が20番ほど上がった。理科がいちばん良くて、国語だけが平均点以下だ」

「理科はおねえちゃんのおかげでしょ!」

「おとうさん、厳しい早稲田義塾でもいいよ」


「急にどうしたんだ? あれほど嫌がっていたのに」

「いまの塾にヤな人間が入ったんで行きたくない!」

「チミにもきらいな人間がいるんだ。へーっ」

「チクりだからイヤなんだ」

「(次男が)奥星余市でも『苦手な人間はチクるやつ』と言っていた。その人間の一声で複数が謹慎になったらしいから」

「小学校のとき、にいちゃんから『チクったら嫌われる』と言われてから、ぼくはそうしないように努めてきた」

「父は昔から正義漢で、悪が許せなくて、よくみんなに爆弾を落としてきた。『おまえ、あれやってるだろう!』と。チクるよりチクられるほうが悪いんじゃないのか?」

「……」

 二人の顔を見たが同調がない。

 隣家の斎田さん家から「21時までに愛犬を入室させてほしい」と言われているのを思い出して急いで帰るが、21時25分となる。幸いなことに愛犬ここあは啼いていない。

 三男がうまくあやして入室させる。

「三男の体操着がくさいから洗濯する」と言っていた長女だが、帰宅後まもなくこてんと横なので、仕方なくわたしが手洗いし脱水して乾かす。

 長女、三男はなんだかんだ言いながら人生を謳歌している。

 問題は長男、次男だ。

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