「とにかく低姿勢を貫いてください!」
妻の脳の調子はガンマナイフ(放射線治療装置)でよくなったが、次男に千葉家庭裁判所八日市場支部から出頭命令があった。
この件で、幼稚園のPTA元副会長で警察官の池間宏忠氏に電話で教えを請うた。
「次男が昨年の夏休みの夜、卒業した中学校のプールへ勝手に侵入したことで家裁から呼び出しを受けています。本人が北海道へいるので夏休みに変更してもらうことはできないでしょうか?」
「家裁は事案を一件一件処理しているので順番に出頭要請があります。日程変更は厳しいかもしれません。高飛車な物言いは調査官の心証を悪くします。とにかく低姿勢を貫いてください」
池間さんから助言されたように調査官への電話はつとめて低姿勢を貫いた。
「本人は北海道でまじめに高校生をしています。面談はできましたら夏休みにしていただけないでしょうか?」
「この日が無理であればおとうさんに北海道へ行ってもらうことになります」
「えっ、それは厳しいです。いま妻がガンで闘病していて、わたしは会社員ですが有給休暇を使って病院で付き添っています。次男は夏休みにはかならず帰省するのですが」
「それでは遅いです」
「でしたら母親の見舞いをかねて6月3日~7日に帰そうと思います」
「6月5日であれば空いています」
たったこれだけの内容なのに公衆電話で60度数(600円)を使った。
次男がしでかしたこととはいえ本人が北海道など遠方にいる場合、多少日程の便宜をはかってくれてもいいのではないか?
しかも昨夏の事案で約1年を要しているので、これでは本人に思い出せと言っても細部を忘れているのではなかろうか?
せめてもう3か月前までに出頭命令があれば本人は千葉へいたので何の問題もなかったのだが……。
とにかく次男には「6/5に家裁支部から出頭命令がきた。逃げたら大変なことになるので6/3の便で帰宅せよ。池間さんからは『家裁ではとにかく低姿勢を貫いてください』と助言された!」とメールした。
さらにその夜、奥星余市高校の玉浦淳子教諭からわたしの携帯に電話があった。
「息子さんがGW期間中に男子禁制の女子の下宿で飲酒した疑いがあり、その席にいた女子全員が認めているにもかかわらず、彼ひとりだけが『知らない』と言っています。あすから下宿待機になりますが、その前に事実をきちんと語ってもらいたいです」
「遅くまでお仕事をさせてしまいすみません。永野下宿へ電話してみます」
わたしは下宿へ電話し次男を呼び出してもらう。
「玉ちゃん(玉浦教諭)から話を聞いた。やったことは素直に早く認めよ」
「やってねえよ」
次男はカリカリ頭にきていて、かたくなだ。
妻が次のようにこぼす。
「ちょっとのあいだよくなっても、また元に戻る。手の施しようがないね」
「北海道へ行く前は洗濯して洗濯物をたたんだりしてくれたやさしい一面もあったが……」
これでは家裁支部の調査官に「本人は北海道でまじめに高校生をしています」と言ったのがうそになる、親にうそをつかせるなよと思う。
一難去ってまた一難だ。
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