68.「肺に無数の影がある!」

  1. 朝飯前の朝飯

「肺に無数の影がある!」

 バレンタインデーの日の朝、妻が話しかけてきた。

「口の中を見て! 咳も止まらない!」

「開けてご覧」

「あーっ」

「黒い塊があるよ。まずいものじゃないのか? 病院へ行ってきなよ」

 妻がはにや内科からなかなか戻ってこない。

 心配してメールすると、「いまいろいろ検査をしているから」といって14時に帰ってきた。

「レントゲン検査の結果、『肺に無数の影がある。千葉大病院へ紹介状を書いたので、来週早々にも行くように』と言われた」

「まじか?」

 わたしはことばを失った。

 その日は大里綜合管理で第24回のフォーラムがある。

 講師は『「夫育て」魔法のルール』(主婦の友社)の著者、北海道在住の舛田麗氏だ。

「『無職、バツイチ、借金あり』の夫をそうじ力のカリスマ、人気作家に育てた ~日本再生の『夫操縦法』~」というとても興味深いテーマで引き受けてもらい、以前から妻にも聴かせたいと思っていたが、体調面からやむをえない。

 妻には「安静にしておくように」と告げた。

 帰宅すると、22時半だというのに安静にしているはずの妻と子どもたちが食卓を囲んで談笑している。

 小学生の三男をはじめだれもまだ風呂に入っていないというのであきれつつ頭にきた。

 その2日後、千葉大病院で妻の2年ぶりの検診だ。

 妻とふたりでノアへ乗り、千葉東金道路から千葉東インターチェンジで降り、大学病院がある亥鼻へ上る。

 12年前、毎日のように通った道で懐かしい。

 千葉大病院は、立体駐車場が新しく完成していて、難なく駐車できるように変わっている。

 翌日も千葉大病院の外来でCT検査を実施した。

 穏やかではない、ただならぬ予感がする。

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