252.「キレない」子どもに育てる!

  1. 朝飯前の朝飯

「キレない子ども」に育てる!

〜「すぐにキレる子ども」になると、親は大変な労力と困難と犠牲をともなう〜
(國米欣明氏講演抄録)

 最近の子どもの反抗期が以前とはずいぶん変わってきている。

    その原因は「すぐキレる子ども」たちの《異常な反抗》が、反抗期のパターンを変えてきているからだ。

    いまでは1~2歳からでも見られる(魔の2歳児)。

    年長になれば、親や教師への反抗だけでなく、社会秩序への反抗、社会正義への反抗(窃盗・傷害・殺人)といった犯罪的な傾向を持つ。


 すぐキレる子どもは耐性が不足し、自分の感情を抑えることができない。

    自己抑制力の脆弱性だ。科学では人間の心は「記憶」が基礎になっている。    記憶(心)には、「生まれながらに脳にインプットされている記憶(大脳辺縁系に保管)=動物脳」と「生まれたあとから学習して習得する記憶(大脳新皮質に保管)=人間脳」の二種類ある。

    大脳新皮質と大脳辺縁系の中間に、自己をコントロールする「眼窩前頭皮質」がある。

    この眼窩前頭皮質の働きが脆弱であれば、すぐにキレ、思いやりがなく、協調性がなく、なげやり、無表情となる。

  自己抑制力の脆弱性だ。科学では人間の心は「記憶」が基礎になっている。    記憶(心)には、「生まれながらに脳にインプットされている記憶(大脳辺縁系に保管)=動物脳」と「生まれたあとから学習して習得する記憶(大脳新皮質に保管)=人間脳」の二種類ある。

    大脳新皮質と大脳辺縁系の中間に、自己をコントロールする「眼窩前頭皮質」がある。

    この眼窩前頭皮質の働きが脆弱であれば、すぐにキレ、思いやりがなく、協調性がなく、なげやり、無表情となる。

 脳の発達には臨界期がある。

「眼窩前頭皮質の発達の臨界期は3歳まで」と言われるなか、3歳までに眼窩前頭皮質と大脳辺縁系との間に多くのシナプスをつくり上げるためには、①十分な愛情、②耐性トレーニング――のどちらも重要で、いずれを欠いても眼窩前頭皮質の充分な発達は望めない。「耐性のトレーニング」とは、乳幼児期から子どもの欲求を断念させるだけのこと。


 それは戦後から1965年までの「ストイック(自己抑制的)な育児法」である「授乳は決められた時間おきにきちんとして、途中で泣いても与えない。抱っこもおんぶもなるべくしない。添い寝もしないでベッドにひとりで寝かせておくほうがいい。泣いてもすぐに抱き上げるのはよくない」がすたれて、

    1966年からこんにちまでの「子ども中心の育児法」である「授乳は欲しがるときに欲しがるだけ与えるのがよい。抱っこもおんぶも添い寝も子どもが望むだけしてあげる。乳児が泣くのは欲求の表現だ。泣いたら素早く対応しないと欲求不満になり情緒不安定な子になる恐れ」になったから。


 次に、子どもの社会性を育てることが大事だ。    大脳新皮質である人間脳のトレーニング、具体的には「してよいこと」「してはいけかいこと」また「しなければならないこと」、正しい価値観を12歳までにきちんと教える必要がある。


「キレない子ども」に育てる最終目標は、思春期までに①自分の感情が抑制できる自制心がある、正しい社会性と規制を守る意志がある、③他人に迷惑をかけない、④相手の気持ちが理解できる、⑤決して暴力を振るわない――ことだ。


 すでに「キレる子」になった対策として、アメリカには「セカンドステップ」が開発されている。    幼稚園用では「自分を他人に合わせることができるようにする入門編」「自己抑制力を育むハイライトとなる部分」「その実践編となっている部分」に大別され、小学生用、中学生用、保護者用も開発されてきている。

    日本ではNPO法人日本こどものための委員会がライセンスを取得して取り組んでいる。

 いずれにしても「すぐにキレる子ども」になってからの対応は、大変な労力と困難と犠牲をともなう仕事になる。

    大人になってからの矯正はなおさら困難。

    これからの子どもたちを「キレない子」に育てる努力をすることが何より大事なこと。

    それが「異常な反抗」を防止するための根本的な対策となる。(2011年10月8日現在)

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