長男の2度目の家裁支部出頭
寝坊し朝8時に起きると、三男はすでに登校していた。
大里綜合管理でフォーラムの電話販促を行なったあと、10時に帰宅し、大学2年生の長男へ「家裁支部へ行くぞ!」と声をかけ、Tシャツをポロシャツに着替えさせる。
車中で長男が「なんで引っ越すのか?」と質すので「中学1年生の三男が次男の、高校を中退したこわい同級生に声をかけられ平然と受け答えしているのを見た中学の上級生や同級生がビビっているらしい。学年主任の先生から『できるだけおにいさんの同級生の影響がおよばない遠くへ越されたほうがいいと思います』と言われた」と順次答えたが理解しないばかりか、その他のことまで攻撃してくる。
わたしも溜まった怒りをぶちまけた。
「日本へ帰国し、おまえの姉も弟も『羽田へ着いた。いい経験ができた。大金をだしてアメリカへ連れて行ってくれてありがとう』と礼を言ってきたぞ。長男のおまえはパスポートを忘れて父親にニューヨークまで届けさせておいて、連絡がなしのつぶてとはいったいどういう了見だ。人の批判をする前に自分を省みたらどうか? それとなー、おれは親に児童相談所や家裁へ同行させたことなんてないぞ。恐縮するならともかく、ふんぞり返るな!」
長男が黙ってしばらくすると、千葉家庭裁判所八日市場支部へ着き、書記官から聞きとりがある。
「本日付で警察庁から案件が回ってきた。スピードオーバーしている認識はあったか? 以前は『運転がうまいから制御する。捕まらない』と言っていたようだが……」
「さすがに短期間で2回も捕まると意識して右の追い越し車線は避けて左車線をゆっくり走っています」
別室へ移動し、審判が始まり、書記官が「起立!」と声をかけると裁判官が語りかける。
「きみの犯罪事案は、5月13日の朝11時33分、千葉市緑区内60キロ制限を100キロ走行、6月13日の22時55分、千葉市若葉区内80キロ制限を135キロ走行。黙秘権もある。2件、間違いがあるか?」
「ありません」
「きみはスピード狂か? ゆっくり走れないのか?」
「いいえ。ゆっくり走れます」
「100キロを超えると車の警報がでるが、自分で注意できないか?」
「これからは注意します」
「スリップや飛び出しなど何かあったときは対処できない。きみ自身が命を大切にしたいなら相手の命も大切にしなければならない」
「わかりました」
「これまでに交通事故はあるのか?」
「ありません」
「2回目の行政処分はあるか? 今回の反則で何点ひかれるか? 免許取り消しになるか? 知っておくように。大人になれば正式な裁判で懲罰刑になる。速度に従って運転しなさい」
「わかりました」
「保護観察を申し渡す。保護司のもとで勉強するように。安全運転に心がけなさい」
書記官からは次の話がある。
「大学のある静岡で安全運転について勉強してもらう。長いががんばるように。9月15日以降に静岡の保護司が担当する」
家裁支部からの帰り、銚子丸東金店で食べる。
長男は「他の回転ずしに比べて確かにおいしい」と言う。
道々、長男の進路について話をする。
「進路はどのように考えている?」
「大学の教授から『卒業後は何がしたい?』と問われ、『商売がしたい』と答えたら『いきなり経営者はむずかしい。大会社より規模の小さい会社のほうがいろいろな職種を経験できるので、まずは小規模の会社へ就職してみてはどうか?』と言われた」
わたしは「きちんと挨拶できない人間が商売なんかできるわけないじゃないか?」と言おうとしたがやめた。
長男もわたしも、「総領の甚六」「長男病」かもしれない。
次男、三男はやがて家をでて独立しなければいけないが、長男には「親の家は自分の家」という認識があるのだろう。