抗ガン剤治療で「頭が痛い。気持ちが悪い」
妻は退院直後、「化学療法が終わると敏感になる。それまで気にならなかったにおいもすごく嫌になる」と言って過敏だった。
わたしのほうを向いてクンクンと鼻でにおいを嗅ぐので、「おいおい犬かよ」と言ったこともあった。
愛犬ここあと妻は顔だけでなくしぐさまで似てきている。
違うのはしっぽの有無ぐらいだろうか?
息を吸って胸が痛い日とそうでもない日はまちまちという。
妻は体調がいいときは、ここあの小屋の掃除や三男の野球のおまもりづくりに精だした。
おまもりづくりなど手芸は料理などとともに妻の特技のひとつだ。
このころ彼女のブームは、スザンヌ×ガールズウォーカー×セブンイレブンの「とろけるプリン」&「生キャラメルシュー」で、母親が退院してハイテンションの三男とよく買って食べていたらしい。
世事に疎いわたしとはこの辺が大きく異なった。
わたしは土日と祝日、子どもの親としての行事がブッキングしバタバタだ。
その週の土曜はまた雨で、三男を乗せて車でC高校野球部室内練習場へ向かう。
きょうは高校生が遠征のため借りることができたらしい。
ピッチングマシンのバッターズサークルへ入るのは、最近の打順どおりなので三男は8番目だ。
わたしは三男を託して、品川区中小企業センターでの奥星余市高校のPTA東日本支部総会へ参加する。
奥星余市高校PTAは北海道、東日本、西日本の三支部体制で、1年保護者がサブで下働きし、2年が責任者、3年が顧問として支えるのを原則としている。
東日本支部にはOBも多く参加することから一様に「第○期の○○です」と前おきして話す。
わたしは第41期OBでかつ第45期の林葉真梨子さんと一緒に副支部長を拝命し、広報誌作成のお手伝いもすることになった。
総会後は1年保護者が自己紹介を兼ねて子どもの近況を報告すると、上級生の保護者やOBが「うちはこうだった」「もっとひどかった」「しかしいまはこうなった」といった助言をしてくれるので気が和んだ。
奥星余市高校はむかしはやんちゃ系が多かったらしいが、最近は引きこもりの不登校約5割、やんちゃ系約3割、普通約2割らしい。
そんな有意義なPTA行事を背にするのはなごり惜しいが、千葉リトルリーグの徳川洋文監督宅でミーティング&飲み会へ参加する。
Aチームが東関東連盟大会、全日本選手権大会を制して、世界選手権大会出場を果たそう、そのためにグラウンドの整備等の手伝いを引きつづきがんばろうという話になった。
翌日はリトルリーグの春季千葉中央ブロック大会だ。
第1試合は千葉市リトル喜多グラウンドで千葉市リトルリーグBチーム相手に10対0のコールド勝ち。
三男は8番キャッチャーで1打数0安打1四死球。
第2試合は長生リトルリーグ相手に16対0のコールド勝ち。
三男は0打数0安打。
妻は抗ガン剤治療の影響か、「頭が痛い。気持ちが悪い」と言って両日ともベッドで伏せる。
わたしは2階へ水や食べ物を運んでやるぐらいしかできなかった。
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