「失敗の教訓を活かす!」
三男の小学校卒業証書授与式に妻の顔がない。
式後、妻の代わりに三男の教室へ足を運び、担任の江本昌美教諭の話に耳を傾けた。
最後に江本教諭は次のように締めた。
「新卒で3年間、最初の子どもたちを預かり、みんなの力できょうの日を迎えました。節目にあたりわたしがいい思いをさせていただきました。このクラスは空気が読める子どもたちで男女の仲がとてもよかったです。クラス全員に漢字一字をプレゼントするために『広辞苑』を引きました」
帰宅後、三男に「どんな字をもらったんだ?」と尋ねると、「幸」とのことだ。
三男のような元気なやつには若い先生でよかった。
午後から一緒にボランティアでフォーラムを運営している大里綜合管理の経営計画発表会へ参加し、野老真理子社長の挨拶を聴いた。
「地域の皆さんのおかげで無事に第34期を黒字で終えることができた。大里は10年前に立派な社屋を手に入れ、技術も精神も向上した。10年前に託してくれたお客さんがいたからこんにちがある。お客様のお役に立ち、喜ばれることをめざす。そのためにも宅建と木造建築の知識、コミュニケーションスキルを身につける。環境整備は『事故』以来もっとも大切にしてきたすべての原点。弊社の特長は百十を超える地域貢献で、地域のひとたちも手伝ってくれている。2年前から社員全員で合唱を始め、来客者へおもてなししている。4月に6人の新しいスタッフを迎える。絶対に首切りをしないでワークシェアリングでやっていく。矛盾のない会社づくりを、過去の失敗に学んでいく。第35期の1年間、マイナスを補い合いながらひとつになって嵐を越えていく」
上記の「事故」とは大里が道路脇の木の伐採の作業中に片づけていなかったロープにバイクの大学生が突っ込み命を落としたことに由来する。
野老社長は、事故のあった7月2日を「危機管理の日」と定め、慰霊や建築現場での事故を想定した勉強会と救急救命の講習、毎週土曜にトイレ掃除の出張、日々社屋の床磨きなどを行ない、環境整備に取り組んでいる。
経営コンサルタントの一倉定氏は環境整備を「規律・清潔・整頓・安全・衛生」と位置づけ「10カラットのダイヤモンドがゴロゴロと転がっている宝の山に入り、誰でも自由にこれを拾っていいのに、拾い上げようとしないようなもの」、イエローハット創業者の鍵山秀三郎氏は「環境整備ができていないが業績のよい会社は確かにあるが、環境整備ができていて業績の悪い会社はない」と述べている。
この日は経営計画発表会の三次会までお付き合いしたが、来賓の経営者、コンサルタント、弁護士、税理士、建築士による質問や助言が「一倉定社長塾」ばりに白熱していた。
わたしはサラリーマンながら一倉氏の経営者向けの講演を聴きに行ったことがある。
そのときの「社長の仕事は経営計画書の作成がすべて」のことばを思いだした。
大里の「失敗の教訓を活かす!」「継続は力なり!」の姿勢は見事だ。
後日、妻に卒業式のDVDを見せると、「わー、三男だ!」と言って喜んだ。
それにしても千葉市土気の皮膚科診療所が1ミリ大の良性のほくろをへたに切開したことで悪性化し、さらに茂原市内の公立病院のオペもまずくて直径26センチに肥大化した。
土気の診療所が失敗したことを重く受け止め、すぐに千葉大病院を選択するべきだった。
病院も患者家族も失敗に学ばなかったことで、いのちを落とすかもしれない状況に陥っている。
本当に悔しい。