体育祭でのブラジャー事件
三男は高3の体育祭で実行副委員長をつとめた。
それはそれでよかったのだが、大変なことをやらかした。
盟友の遠野くんにある指令をだした。
「高校生活最後の体育祭だ。騎馬戦でブラジャーをつけて盛り上げよう」
「おまえもやるんだろう?」
「いやおれは実行副委員長だから……」
「おれひとりでか?」
「ああ。いっしょにブラを買いに行こう」
「わかった。緊張するな!」
三男は千葉から東京へ転居して地理にうといということもあり、野球部の遠征でもすべて「調べといて」といってたのんでついていくスタイルだ。
だから三男は遠野くんがいてくれてやっと行動できる。
体育祭の当日を迎えた。
騎馬戦に遠野くんだけジャージを着て運動場へ登場。
みなが整列すると、パッとジャージを脱ぎ捨てると上半身にブラジャーがやけに目立つ。
応援席からは歓声と笑い声がおこる。
わたしは三男が帰宅してから問い詰めた。
「遠野くんのブラジャー、おまえの悪だくみだろう」
「そうだよ。体育祭を盛り上げようと思って」
「あんなことをすると叱られるだろう」
「遠野は学年主任や校長から次々とこっぴどく叱られたらしい。先生たち、その場では大笑いしていたくせにね」
「ウケねらいなら自分でやれよ!」
「副実行委員長だからできないよ」
遠野くんにあった際、三男に代わってわびた。
「ごめんね」
「いえ、だいじょうぶです。盛り上がりましたから」
「三男と6年間、ありがとう!」
「ぼくも楽しかったです」
遠野くんはいつもさわやかだ。