「タバコ1本、ビール1缶10万円」
奥星余市のPTAは北海道・東日本・西日本の三支部からなり、千葉県は東日本支部の所属だ。
その東日本地区懇談会が品川区中小企業会館で行なわれ、学校から校長・教頭・担任、保護者たちが多数出席。
全体懇談会では、幅内和生校長(当時)が次のように挨拶した。
「ことしの1年生は1クラス23名、学年69名でスタートし、全体的に活気が弱いが、この時点で退学者が2名と少なくホッとしています。
1年生は1年研修会、体験学習を経てもなかなか競歩遠足で歩こうとしないが、上級生が声をかけたりすることで意欲がわきリタイアができませんでした。
弁論大会は弁士の発表だけでなく全校生徒がどう受け止めるかにかかっています。ふだんはあまり話を聴かない生徒でも内容がよければ耳を傾けます。
スポーツ大会では1年生にクラス意識が芽生えてきて助け合いの時期です。今年は2年生が総合優勝しましたが、これから修学旅行、生徒会選挙等があり、生徒たちが急成長し、そのなかからリーダーシップをとる生徒がでてきます。それを下級生がどう見るか?
3年生は進路まっしぐらで、学園祭がトータルの行事です。
定員は1学年190名で、とくに1年生が大きく下まわっています。生徒が減少したのは、全国的に少子化(札幌市内の高校の多くも定員割れ)や通信制高校の出現が大きいです。通信制高校に通う生徒は人間関係がわずらわしくないところで生活し悩まないで卒業したいと考えています。しかし人間は集団の中で生まれ、どこかで人間関係を学ぶ必要があります。それができないと苦手なまま大人になり社会性を身につけられません。
京都大学大学院教育学研究科の院生が『奥星余市の教育は通信制とは違う。一つひとつの行事や指導、カウンセリングに意味がある。これが全国に浸透することを期待する』と言ってくれています」
学級懇談会では、1年C組担任の玉浦淳子教諭から次の話があった。
「女子生徒がおちついていて、休みも少なく成績も上々です。学級全体で謹慎が7人で、内訳は飲酒、喫煙、他の下宿侵入、いじり等です。下宿移動は女子ふたりで大家さんとあわないのが理由です。男子はいまのところ移動の希望はありません。従来、11月がだらけるので、締めていこうと思っています」
個人面談では「(次男は)1学期の謹慎で試験を受けられなかった科目が赤点。欠席3日、早退1回、中抜け46回(国A13、英14、数12、音7)、忘れ物5回、謹慎4回」と言われ愕然とした。
次男には「北海道まで行ってなにをしているのか? 卒業する気はあるのか? 学校を休むな! 授業を中抜けするな!」と言いたい。
全体懇談会で、1年女子のY母が次の発言を行なった。
「うちの子は熱海で泊まり込みのバイトを探してきた。しんどいと言っている」
わたしは次男から「泊まりでバイトしたい」と言われ「とんでもない」と答えたが、奥星余市へ通わせるということは、親がもっと視野を広げないとついていけないのだと反省させられた。
1年男子のT父は「みんなの話を聴いて、普通なのはうちぐらい」と述べたが、確かにそう思えるぐらいのなんでもありの内容だ。
41期の西瀧母が幅内校長に論戦を挑んでいる。
「長男を北星余市に入れよかった。次男の進路を決めるさい、幅口校長から『ほかもいい学校』と言われ、愛知県の高校に通わせたら暴力事件が頻発し、奥星余市のような学年団のまとまりがなく指導がバラバラで苦悩した」と。
奥星余市の場合、本州や四国、九州、沖縄からだと飛行機を利用する必要があるが、授業料や下宿代はじめ物価が安い。
ホームページに比較表を入れて紹介すれば効果的と思う。
ただ、子どもが問題を起こして謹慎となれば2回目から親が引き受けに行く必要があり、緊急なので航空会社のマイレージが利用できない、早割が無理、宿泊代もかかる。
「タバコ1本、ビール1缶10万円」と言われるゆえんだ。
もちろん子どもが問題を起こさなければ親としてとてもリーズナブルだ。
謹慎の数「1学期4回」でいうと、次男が学年ワーストだ。
2学期からの奮起を期待するしかない。