免疫細胞療法に賭ける!
朝から冷雨で、妻には「温かい格好をして出かけるように」と言う。
千葉東金道路から東関東自動車道、首都高速湾岸線、同神奈川1号横羽線、同神奈川7号横浜北線で新横浜へ着く。
ビル最上階の瀬田クリニック新横浜へ昇ると、外資系ホテルのフロントのような受付だ。
妻とわたしは緊張な面持ちで院長室へ入り、金尾亨院長からA4判4ページの手書きコピー「樹状細胞療法について」の説明を受ける。
コピー用紙の頭には「樹状細胞は、白血球中の単球という成分から作ります。採血量が多ければ単球もたくさん摂取できます」とある。
金尾院長から免疫細胞療法(樹状細胞療法)について説明を聴き、HLA(ヒト白血球抗原)検査を行なったあと、概ね下記のことを言われた。
・千葉大病院でのダブフェロン投与と瀬田クリニックでの樹状細胞療法を交互に実施したい。
・ただし、HLA検査の結果、マッチすればいいが、合わなければ他のクリニックを探すことになる。
・マッチングの確率は80%超。マッチングすれば大きなリンパ節のある部の近くに皮下注射する。
・その結果、①縮小、②不変、③拡大――に大別される。②の不変であれば現状の体調を維持することができるので続けるが、拡大していれば意味がないので中止する。
・CT画像を撮ってほしい。
・口内のできものの切除は、樹状細胞療法が終わるまで避けたい。
今後のスケジュールについては下記の通り。
3月6日頃、HLA型により合成ペプチド選定。
早ければ
3月9日の週に樹状細胞ワクチン+αβτ用の採血。
この採血が済んでから千葉大でDAVーフェロン施行、4週毎に3~6回予定。
3月16日の週にDAVーフェロンなら、3月30日の週に①DCワクチン+αβτ。
DAV-F
↓ 2w
DC+αβτ
↓ 2w
DAV-F
↓ 2w
DC+αβτ
↓ 2w
DAV-F
↓ 2w
DC+αβτ
※このあとにCT再検にて評価し、その後の方針を再検討する。
次回は、3月9日11時半に予約を入れた。
瀬田クリニック新横浜から藤沢市内の田川一真医師のクリニックへ向かう。
田川医師は満面の笑みで「奥さん、元気そうだねー」と妻をいたわりながら検診後に次の助言をいただいた。
「瀬田クリニックの説明の紙を見たら、リンパ節のある、皮下に注射をするようです。奥さんの場合は、脇の下のリンパ節は切除してあるので、鼠蹊部のリンパ節に注射するかと思います。口の中のできものは、千葉大の鎌田高徳先生にメールをしておきます」
妻は「田川先生に癒されるー」と言ってとても満足の表情だ。
帰宅後、わたしは克本晋一医師へ瀬田クリニック新横浜で聴いた内容等をメール交換した。
「千葉大病院では3月16日あたりにダブフェロンを実施していただきたい。妻は3月2日~5日まで帰省するが3月5日15時以降であれば可能」
「DAVフェロンではなくダカルバジン+フェロンのみの予定です。再発時にAVを加える利点は特にありません。抗がん剤には副作用があり、その回復具合、体力を見ながらですので、2回目以降のスケジュールを最初から組むことはどの患者さんに関してもありません。2クール以降の日程はあらためて調整していくしかないです。ご希望は了解しました。4週毎はおそらくきついですし、既に13年前に抗がん剤治療をされていることから、副作用が長引く可能性はあります。トータルの回数も、副作用で制約されると思います。CTは必要に応じて撮りますが、それほど頻繁に行う必要性はないです。奥様の場合、通常のレントゲンで、効果を評価できる影が多数あります。こちらは受診の都度撮影することになる(胸水のチェックを兼ねて)と思います。口のできものに関してはこちらも意見がわかれています(わたしは切除派です)。もちろん、ご希望であれば経過を見ることもかまわないと思います。抗がん剤を行う場合、木曜入院、日曜入院、月曜入院などがあり得ます。来週のうちに、ご希望を考慮し日程を調整してみます。12日入院がいいかもしれません。大部屋(追加なし、あるいは5000円/日)、個室(15000円/日)のどちらを希望されますか? どちらも新病棟で快適です。患者さんの入退院の関係でご希望に添えないこと、変更になることがあります」
免疫細胞療法は保険外診療で出費がかさむが、妻の病状を考えると高くても個室だ。
「入院・抗ガン剤投与のスケジュールまでご案内いただき感謝します。入院は12日、部屋は個室を希望します。瀬田クリニック新横浜の金尾院長よりの伝言を一点失念していました。『患者は再発で進行が進んでいるので樹状細胞療法の注射は一日置くよりも即日のほうが新鮮でよい、今回は千葉の連係医療機関でなく瀬田クリニック新横浜で実施したい。毎回連れてきてほしい』と言われました」
「いまの日本の標準(現時点でなるべくきちんとした根拠に基づき望ましいとされる)治療のガイドラインです。ご参考ください」
http://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/skincancer/cq.html#mm
克本医師の頭の中は「免疫細胞療法」よりも「緩和ケア」なのだろう。
一歩前進しても二歩後退する思いだ。