293.「えっ、携帯没収なんてムリだよ」

  1. 朝飯前の朝飯

「えっ、携帯没収なんてムリだよ」

距離が広がった感のある夫婦だが、住まいもわたしが東京北区、新妻が横須賀市秋谷と別居婚をつづけている。

妻はわたしに迫る。

「結婚するとき『千葉と東京の家を売って秋谷へきて』って言ったよね」

「三男が浪人するかもしれない」

「浪人は絶対ダメ! どこでもいいから大学へ入学させて」

「えっ、大学がどこでもいいっていうわけにはいかないよ」

「いいの」

「それから空き家になんか住めないよ」

「空き家でなくて秋谷よ! 芸能人の家もいっぱいある!」

「芸能人なんて興味ないよ」

わたしは万が一のために寮がある予備校を調べて「北九州予備校」の存在を知り三男と向き合う。

「大学はどうする?」

「体育学科かスポーツ学科にする。それ以外は自信ない」

「どこを受ける?」

「順天堂大学と法政大学、日本大学、東海大学かな?」

「私大の体育・スポーツでいちばん高い、といっても偏差値60程度の早稲田大学(スポーツ科学部)や全国の体育教師を多数輩出している伝統の日本体育大学を受けないのか?」

「早稲田はどうせ落ちるから受験料がもったいない。日本体育大学は実技重視なので予備校へ行かないと受からないし、プレーが好きだった花巻東のS選手がいじめで自殺したから……」

さっき言った大学だけじゃ心許ないだろうし体育教師をするのならB大学だってあるぞ。

三男にYouTubeを見せた。

「落ちたら北九州予備校だぞ!」

「えっ、携帯没収なんてムリだよ」

「だったらがんばれ」

「わかった」

三男は順天堂大学と法政大学、日本大学、東海大学、B大学(体育)を落ちて、A大学スポーツとB大学(社会)に受かった。

遠野母からメールをいただいた。

「中学と高校で6年間、今度はB大学で4年間もいっしょですね」

「情報、早いですねー! わたしもA大学よりB大学のほうが偏差値が高いので行ってほしいのですが、体育・スポーツ以外にコンプレックスがありまして……」

結局、三男は野球部監督の「体育・スポーツをやりたいのであればA大学のほうがいいのではないか?」のことばに背中を押された。

わたしは不満だったが、プレーヤーである本人の意思を尊重しようと思い入学金を振り込んだ。

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