154.「世界選手権大会出場かけ16リーグ激突」

  1. 朝飯前の朝飯

「世界選手権大会出場かけ16リーグ激突」

 わたしは22時50分まで残業し、「あすはいよいよ妻が『わたしも(三男の)応援に行きたい!』と言っていたリトルリーグの全国選手権大会だ」と思いながら家路を急ぐ。

 コンビニで買った『サンケイスポーツ』には「全日本リトルリーグ野球選手権大会 世界選手権大会出場かけ あす開幕 16リーグ激突」の見出しが光る。

 下段には「今大会は他リーグを圧倒するリーグはないが、頭一つ出ているのが松坂(東海連盟)と大宮(北関東連盟)の2年連続出場組だ。松坂は、昨年の戦力を維持し集中力が加わり、大宮は投手陣が安定して、自慢の攻撃力もさらにアップしている。この2リーグに続くのが、試合巧者の武蔵府中、調布(いずれも東京連盟)、千葉(東関東連盟)、仙台東(東北連盟)の4リーグだ」とある。

 日付が変わって帰宅すると、長女と長男はテレビを見ながら話をしていて風呂にも入っていない。

 結局2時すぎまで起きていたので、これは朝起きられないかもしれないと不安になり、ふたりに何度か「野球の応援に行くなら早く風呂へ入って寝ろ。起きなかったら連れて行けないぞ」と伝える。

 早朝5時10分、三男が「遅刻だよ!」と言って起こしにきたので、長女と長男に声をかけ千葉市天台に6時集合をめざして出発する。

 前の晩に長男へおにぎりとウィダーを買い、ガソリンを満タンにするようたのんでおいたのが救いだ。

 三男には朝食を車の中でとらせ、わたしの運転で天台へ向かいかろうじて5時55分着。

 わが家よりも遅いのは若田家のみだった。

 徳川監督夫人が携帯電話を終えて、「道路が渋滞していると言うけど、こんな時間に混むはずないよね」と声をあげている。

 わたしは睡眠不足で天台出発前に長男へ「運転をかわってくれ」と言って後部座席へ移動する。

 湾岸道路を走り、江戸川区球場着は7時。

 ひと休みして江戸川区球場そばの有料駐車場に車を停めて球場まで歩く。

 途中、優勝候補の一角の松坂リトルリーグ、岡山県の笠岡リトルリーグ(中国連盟)のユニホームを着た選手や監督・コーチにあう。

 球場へはいると、三塁側の中段に陣どる。

 その後、マイナーの選手たちが到着してから、バックネットに近い位置へ移動。

 開会式は30分遅れてスタートし、選手入場、主催者・来賓挨拶に続いて、江戸川区立瑞江中学校生徒による演奏がある。

 10時ベンチ入りとなり、『サンケイスポーツ』で「試合巧者」と紹介されていた武蔵府中リトルリーグの監督の機械のように寸分たがわないノックが開始し、守備もさすが世界一を経験しプロ野球選手を何人も輩出している名門チームと納得させる。

 背番号3の投手も伸びのある投球を披露する。

 山田父が「本当は背番号3がエースだろう。千葉にエースをぶつけてきた!」と言う。

 7分がたつと、今度は千葉リトルリーグの番だ。

 徳川洋文監督の気合の入ったノックの雨。

 籠山一塁手がキャッチャーへ暴投すると、連携の乱れが顕著となる。負の連鎖。

 一瞬ダイヤモンドから目をそらしたくなる光景だ。

 わたしは「この試合、どうなるんだろう?」と不安に思いながら、持参した「天女になった妻」の遺影に向かって「応援してくれ! たのむ!」といって手をあわせる。

 両軍のノックが終わると、審判団がバッターボックス等のラインを引き直す。

 いよいよ世界選手権大会の1枚の切符がかかった、三男たちチームのプレイボールだ。

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